公明党横浜市会議員団

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平成19年第1回横浜市会定例会を行ないました。(3月20日)

3月20日(火)の本会議では、仁田昌寿 議員が、請願第28号、36号、37号、38号、41号、42号、及び43号につきまして、公明党横浜市会議員団を代表し、不採択に賛成する立場から、意見を述べました。

ただいま議題となっております、請願第28号、36号、37号、38号、41号、42号、及び43号につきまして、公明党横浜市会議員団を代表し、不採択に賛成する立場から、意見を述べたいと思います。
はじめに、請願第36号「議員の海外視察(旅費)の廃止について」の不採択に賛成する立場で討論いたします。
請願第36号は、「議員に支出されている海外視察費(旅費)を廃止し、必要な海外視察については政務調査費等で行うこと」という内容であります。
横浜市会における海外視察は、地方自治法及びこれを受けた横浜市会会議規則に基づく議員派遣により実施されていることは、議員各位ご承知のとおりであります。
議員派遣の根拠を規定する地方自治法第100条第12項は、「議会は、議案の審査又は当該普通地方公共団体の事務に関する調査のためその他議会において必要があると認めるときは、会議規則の定めるところにより、議員を派遣することができる。」と定めております。
また、横浜市会会議規則第117条及び「横浜市会議員の海外視察取り扱い要綱」により、議員を派遣する場合は、市会の議決で決定し、閉会中にあっては、議長が決定することとされており、決定に当たっては、派遣の目的、場所、期間、調査事項等を記載して議長に提出することとなっております。
さらに、視察実施後は、速やかに報告書を作成して議長あてに提出することが義務づけられており、報告書は、議員間で情報を共有化するために、平成18年度からは各会派に配布されているところであります。
従いまして、地方自治法で定められている制度の趣旨から、海外視察は、横浜市会で決定された公務として、派遣されるものであり、この点で、会派に交付される政務調査費を使用して行う会派独自の調査活動とはその性質が全く異なるものであります。
本来であれば、今回の請願提出に当たって紹介議員となった議員・会派は、

などを請願者の方々にしっかりと説明しなければなりません。
しかし、運営委員会における審査の過程で明らかになった実態は、本請願の採択を主張する共産党の委員が、当該海外視察の目的や視察内容をまとめた報告書をほとんど理解しておらず、「観光まがい」などという誤認識を持って海外視察の廃止を主張するなど、全く真摯な態度とはいえない対応でした。
運営委員会では、まず、自民党の委員が、共産党委員に対して、「視察の内容について当事者に確認された経緯がありますか?」という質問をされましたが、共産党委員は、「それなりの調査に基づいて記載されているものと確信しています。」とか、「詳細を全部飲み込んでやっているかどうかはわかりませんが、書かれていることはそれなりの調査活動に基づいてやった。」などとの意味不明なお答えでした。
続いて、私から、共産党委員に対して、繰り返し、「この視察のどの部分を観光まがいと判断されたのですか?」と質問いたしましたが、共産党委員は、再三の質問に答えることができないばかりか、答弁に窮すると「見解が違うのかな・・・」と発言したり、傍聴議員席で傍聴をしていたこの請願の紹介議員である同僚議員に発言をさせてほしいと申し出たりするなど、会派を代表して選出されている委員として、極めて不見識、無責任な態度に終始する始末でした。
ちなみに請願の中では、ペルーの「マチュピチュ」への視察について紹介されておりますが、議長の決定をいただき、この視察に派遣されたのは、わが党の同僚議員でした。
既に視察報告書は、全議員で情報を共有化していただくために昨年各会派に届けられており、また、この視察の意義や成果については、先日の運営委員会の場でも確認いたしましたが、ここで改めて若干申し述べさせていただきます。
この視察は、平成17年11月、5名の議員からなる北南米視察団の行程の一部としてペルーを訪問したものであります。
訪問の目的は、横浜市に本部を置く国際熱帯木材機関(ITTO)及びその関連機関が展開しているプロジェクトの実態を現地調査することによって、地球的規模の環境保護施策と持続可能な開発等への国際貢献・交流活動の実情を把握しようとするものでした。
ITTOは、横浜市が20年前に、政策的に誘致を行った、条約機関としてはわが国に唯一本部が設置されている国連機関であります。
横浜市の平成19年度予算においても、約6,700万円が国際協力推進事業費として計上されております。
視察団は、ペルーの首都リマ市で、農業省を訪問し、ペルー政府を代表してアルバレス長官の歓迎を受け、ITTOをはじめ国立天然資源機関(INRENA:インレナ)など8つの関係機関の事業説明を受け、意見交換をいたしました。
折りしも当時、ITTO理事会や関係国連機関において、ITTO条約の改定議論が進められている中、ホストシティである横浜市として、わが国政府や国際社会にITTO本部の存続について強くアピールする必要がありました。
熱帯木材消費国の国民として、そして環境行動都市・横浜の市民の代表として、横浜市に本部を置き、横浜市が財政支援をしているITTO等による森林破壊の進行を防ぐための各種プロジェクトの実情を直接聴き、意見交換が出来たことはたいへん有意義なものでした。
会議での熱心な意見交換を受けて、調査に訪れたマチュピチュでは、国立天然資源機関(INRENA)の現地事務所を訪問しました。
マチュピチュには、週末にもかかわらず、ITTOの担当官も同行してくださり、現地事務所担当官から生態系保護活動等の様々な活動事例をヒアリング調査しました。
このように、この視察が、派遣目的に沿った、極めて内容の充実した視察であったということは、視察報告書を見れば明快であります。
ちなみにITTOは、今回の視察について、次のようなコメントを寄せていますので、紹介させていただきます。
「横浜市議会には、ITTOの活動を十分に知っていただくことが必要である。その中で、横浜市議会を構成する議員が熱帯林地帯を訪れ、ITTOの活動を肌で見聞したことは極めて重要である。」
このように、国連機関が、その必要性を公式にコメントしている調査活動を、「観光まがい」と断定し、さも物見遊山で行ったかのように批判している共産党の見識は、国際性が全く欠如したものと断じておきたいと思います。
共産党は、「地方行政とはあまり関係がない観光地の訪問」とする今回の請願に、視察報告書さえ満足に読まず対応したばかりか、さらに自ら「共産党の見解を紹介している」と認めている「横浜市政新聞3月号外」の紙上において、「観光まがい」の海外視察などと紹介をしました。日本共産党のこのような態度は、断じて容認できるものではありません。
また、請願は、「必要な海外視察は政務調査費等で行うこと」を求めています。
現行制度では、海外視察の経費のうち、旅費の算定に当たっては、横浜市の旅費関係規定を準用し、合理的かつ経済的な範囲内とされております。
一方、請願者や紹介議員等が主張するように、仮に、海外視察を会派に交付している政務調査費で実施する場合、現段階では、具体的基準やルールが何もなく、また、会派活動の独自性、自主性等の理由から、視察の成果が市民に明らかにされないなどの恐れもあります。
政務調査費については、自民・民主・公明によるプロジェクトチームにおいて、現在見直しを検討中であり、19年度中に所要の措置を講ずるものとしております。
 このような政務調査費の検討もすることなく、会派独自の判断で政務調査費による海外視察を実施することについては様々な課題があります。
地方自治法が規定する議員派遣の趣旨、海外視察制度の性格、そして政務調査費制度との根本的な違い等を正しく理解すれば、「政務調査費で実施すればよい」などという結論には到底ならないものと考えております。よって、請願第36号については、不採択とすべきであることを表明します。

次に、市営バス路線の存続及び維持に関する、請願第28号、37号、38号、41号、42号、及び43号について、不採択に賛成の立場で討論します。
市営バス路線につきましては、当初、昨年の9月に、58路線の廃止及び民間移譲の方針が打ち出されました。これは、交通局が平成19年度から、任意補助金に頼ることなく、独立で収支均衡した経営を行っていくために、職員の給与カットや業務執行体制の見直しなどの経営改革を進めたうえで、示された案と理解しております。
しかしながら、発表当初は路線周辺の市民の皆様は、大変不安を感じられたことと思います。このような不安を取り除くべく、わが党をはじめとする多くの議員は、市民の大切な交通手段であるバス路線のあり方について、市会において幾度となく議論を繰り返し、解決策を検討してまいりました。その議論の結果、昨年12月、新たな「バス路線の再編成について」が取りまとめられました。
新たな「バス路線の再編成について」では、道路局や交通局において、「横浜市生活交通バス路線維持制度」や「市営バス路線暫定運行事業」が実施されることとなり、当初の計画よりも多くの路線で、バス運行が継続されることとなりました。
わが党としては、「横浜市生活交通バス路線維持制度」において、3年後に行われる見直しが、廃止を前提としたものではないと確認しつつ、道路局の予算案についても賛成をいたしております。
今回の6件の請願の趣旨は、「横浜市生活バス路線維持制度」や「市営バス路線暫定運行事業」ではなく、これまでどおり市営バス事業に補助金を出して運行をしてほしいということでありますので、わが党としては不採択とすべきものと考えます。
一方、常任委員会の審査において明らかになったように、これらの請願の紹介議員となっている日本共産党は、請願の趣旨にある市営バスでの運行継続を求めておきながら、同時に「横浜市生活バス路線維持制度」や「市営バス路線暫定運行事業」による運行の継続も認めるとのことであります。
そもそも、「横浜市生活バス路線維持制度」は、既存のバス路線が廃止されることによる交通不便地域の発生を回避するということを目的として、市内の生活交通として必要なバス路線を維持するため、民営バス事業者に補助金を交付して、市民の日常生活の利便性を確保するという考え方に沿った支援制度であります。
一方で、これらの請願の趣旨は、横浜市の一般会計から交通局に補助金を出して、市営バス運行の存続を求めているものであります。この相反する制度を両方認めることは、矛盾した、一貫性のない、大変無責任な態度であると思います。
この矛盾した態度について、道路・安全管理委員会において、私から共産党の委員に対して質問をしたところ「市営バスが一番良い。だから請願を採択してほしい。しかし、それは、暫定路線を否定したり、維持路線に反対するということとは結びつかない。」と答弁しています。
さらに、共産党は同常任委員会において、「横浜市生活交通バス路線維持制度」に賛意を示していながら、本制度の事業予算が含まれている道路局の予算案には、反対をしております。
このような、共産党の矛盾した態度は、例えば、一般会計予算には反対をしておきながら、市第122号議案「横浜市小児の医療費助成に関する条例の一部改正」には賛成をし、先ほど取り上げた「横浜市政新聞」において、あたかも自分達の実績のように喧伝するなど、随所に見受けられます。
このような一貫性のない態度は、いたずらに市民を混乱させるものであり、理解に苦しむものであります。
事業を制度化する条例などと、その裏付けとなる予算は、当然、一体のものとして判断すべきものであり、共産党の一貫性のないパフォーマンスは、来る統一地方選挙において市民から厳しい審判を下されるものと確信しております。
以上申し述べたことから、請願第28号、37号、38号、41号、42号、及び43号について、不採択とすべきことを申し述べ、公明党横浜市会議員団を代表しての私の討論といたします。