公明党横浜市会議員団

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平成24年第2回定例会において一般質問を行ないました。(6月13日)

6月13日(水)の本会議では、行田 朝仁議員が公明党横浜市会議員団を代表して、林市長、並びに山田教育長に質問いたしました。

  1. 大都市制度と地域自治について
  2. 大都市の高齢社会に対応した仕組みづくりについて
  3. 防災・減災の取組強化について
  4. 脳血管疾患救急医療体制について
  5. 地域での子どもの育みについて
  6. 図書館サービスの充実について
  7. 今後の鉄道整備について
  8. こどもの国駅のトイレの設置検討について
  9. 市政に対する市長の考え方について

以上、林市長並びに山田教育長に質問しました。

 1.大都市制度と地域自治について

横浜市では今年度「横浜特別自治市大綱」を策定し、福祉や防災などの市民生活の安心の実現を目指し、その創設に向けての動きを加速させつつ、地方分権改革の推進を国に求めているところですが、現場をリードする市役所が、権限や財源を区や地域にどのように分配していくか、地域のことは地域で決める、こうした住民自治、横浜市で言う地域自治の理念に基づき、横浜に相応しい自治の姿を目指すべきと考えます。
一方、大都市横浜では、住民ニーズも地域課題も多種多様。大都市ゆえの課題のすべてに、従来型の行政のみで対応することは難しく、今後の市政運営には、権限・財源の分配を含めた市民と行政の役割分担が重要な鍵になると考えます。

現状でも市民の皆様は、様々な地域課題の解決に取り組まれており、例えば、児童虐待への対応などは、最前線の区役所と市民力、地域力の結集が欠かせません。
そのためにも、主役となる区と地域のパイプを太くすることはもちろんのこと、区から発信・提供される地域の声を、市役所もしっかり受け止め、サポート役として地域を支援していく仕組みが、目指すべき「地域自治」、横浜らしい市政運営につながると考えます。

特別自治市の本格設計を始める時、都市内分権を推進し、市会や市民の皆様と議論しながら、設計にあっては現場の状況を的確に把握することが重要です。
例えば、国の制度設計について指摘しますと、介護保険制度では、介護職員の配置基準を、100床の特別養護老人ホームでは30人程度として公費を投入していますが、実際にはどこも40人以上の職員を確保しないと運営できないのが現状です。

特別自治市を目指す上で、地域自治は最優先課題であります。権限・財源の集中だけではないかとの疑念を払しょくし、真の地域自治を進め、市民の皆様の福祉向上が図られることが重要であり、将来にわたって持続可能な取り組みを要望いたします。

 2.大都市の高齢社会に対応した仕組みづくりについて

本市の将来推計人口によると、今年度は高齢化率が21%を超え、超高齢社会に突入。また、団塊の世代の方々が75歳以上となる2025年には、高齢者人口は100万人、そのうち約22万人が要介護認定者と推計されています。
高齢化に伴い一人暮らし高齢者や高齢夫婦のみの世帯、認知症の方の増加が見込まれる中で、これからは、健康づくりや介護予防、地域での支え合い、医療と介護の切れ目のないサービスを提供する地域包括ケアシステムなど、健康で長生きできる社会を目指した仕組みを作っていくことが重要です。

地域において地域包括ケアを実現するには、地域包括支援センターの機能を備えた地域ケアプラザがその中心となっていくべきであります。
また、地域ケアプラザは、認知症や介護の相談だけでなく、子育てに関することでも気軽に立ち寄り相談できる、まさに「地域の灯台」として役割を担うべきものであり、地域に関連する様々な情報発信、複雑で多様化するニーズにも対応できる相談窓口といった役割に加え、まず認知度を高め、地域の中で信頼を得ながら、保健・医療・介護・福祉等のネットワークを構築することが大きな課題の一つと考えます。

現在、横浜市では「100万人の健康づくり戦略」において「健康ポイント事業」を検討し、この「介護支援ボランティアポイント事業」もこの戦略の中で様々な展開を考えていくとしていますが、健康寿命を延ばし元気な高齢者を増やしていくためには、企業など多くの民間の力を得て市内で一大ムーブメントを起こす位の勢いが必要だろうと思います。そして、壮年期から地域との接点を提供していく、そのためにも、まずこの「介護支援ボランティアポイント事業」が魅力的であることが求められます。

これまで我が党が掲げてきた「横浜21ビジョン フロンティアロード」をベースに、こうした横浜らしい福祉・保健・医療のトータルシステムを築くことは、高齢化、単身化という大都市の問題解決に寄与するものと考えます。

現在、わが国は、世界で最も高齢化が進む国であります。世界が悩む問題の解決をリードする、世界に誇れる横浜モデルを示していくべきと考えます。
施策の進捗を確実に評価し、縦割りを排すべくチェックしながら、大都市の高齢社会に対応した仕組みづくりに取り組んでいただきたいと思います。

 3.防災・減災の取組強化について

(1)帰宅困難者対策

帰宅困難者対策についてですが、本市では、行政だけでなく、民間事業者の協力を得て、その充実を図ってきたところです。
しかし、大きな災害が発生した場合、行政は救助活動などに全力を注ぐため、市民や企業の皆様にはこれまで以上に自助・共助の重要性を理解し、取り組んで頂くことが重要です。
また、その対策といえば、主に地震が発生した時を想定しがちですが、昨年9月21日の台風15号でも電車が停止し帰宅困難者が発生するなど、他の災害でも対応が必要となる場合があることが明らかとなりました。

防災情報Eメールなど、登録者数は23年度末で約8万人。大変少ないです。
横浜市が災害時に役立つ情報を提供していることを知って頂けるよう、積極的な情報配信と、情報伝達手段のPRを要望いたします。

(2)市立学校の耐震対策

本市の学校耐震対策は比較的進んでいると認識しておりますが、文部科学省の調査によると、公立学校の天井や照明器具などの非構造部材の耐震化について、全国公立小中学校の29.7%しか行われておらず、更に、全体の34.7%にあたる1万校以上で耐震点検すら行われていないという実態が明らかになりました。
避難施設となる市立学校については、構造体の耐震対策に加えて、非構造部材の対策が重要であり、中でも、災害時に避難施設となる体育館の安全性を確保することは、喫緊の課題です。

これまで、耐震対策をリードしてきた横浜市として、非構造部材の対策についても早急かつ着実に実施し、国との連携の中で、安全・安心な学校となるよう、強く要望します。

(3)防災拠点の備蓄

平成24年3月開催の横浜市防災会議の審議結果から、被害想定の見直し結果に基づき、備蓄物資の品目、数量などの見直しが検討されています。現在、地域防災拠点の備蓄品目、数量は453全拠点、均一ですが、そもそも区別の想定避難者数に違いがあり、全拠点均一は疑問視せざるを得ません。また、災害時の援護に関し、特別な配慮が必要となる高齢者や乳幼児の数についてもばらつきがあります。

地域防災拠点に設置されている防災備蓄庫についてですが、現状の備蓄量では不十分であり、自助の重要性を更に周知する必要があるわけですが、拠点によっては、均一に配備されている備蓄品に関し、数量を増やしてほしい、スペースの関係で減らしてほしいなどの要望が寄せられています。また、昨年度の補正予算執行にあたり、ある拠点からは「すでに独自に備蓄している」「拠点の備蓄品について地域の声が反映されてない」、との意見もあり、全拠点均一の見直しが求められています。

(4)児童生徒のための備蓄についての今後の考え

昨年7月、教育委員会は、学校防災計画を見直し、大規模地震が発生した場合は、児童生徒を原則留め置くこととしました。そう決めた以上、児童生徒のための食料等は全校配備すべきと再三要望し、教育長も、出来る限りその方向で検討すると答弁されてきました。
そうした中、財政状況を踏まえ、今年度予算では地域防災拠点となっていない学校52校にのみ、児童生徒の20%分を備蓄し、地域防災拠点となっている学校では、地域住民が利用するための防災拠点の備蓄品を児童生徒のためにも活用することが決められました。
しかし、避難されてくる地域住民向け備蓄と児童生徒の備蓄を共有することは、適切な対応とは言えません。地域防災拠点の備蓄量は、各拠点2,000食であり、そもそも状況によって大きく不足するのではないかと懸念しております。
そうした観点からも、すべての学校で全児童生徒分の備蓄を確保しておくことが必要と考えます。

備蓄に関しては、教育委員会だけの問題ではありません。早急に本市が責任を持って整備するよう要望します。

(5)ペット防災

災害時にペットか?という声も当然あろうかと思いますが、ペットは今や家族の一員として大きな役割を果たしております。
横浜市が動物救援センターの設置やペットケージの備蓄等を行っていることは承知していますが、飼い主が知るべきペットの防災対策についてはあまり知られていないようです。

横浜市としてもペットケージの備蓄、ペット用品及びテントの手配などしておりますが、あまり市民の皆様へ周知されていないようです。しっかり広報していただき、また、各拠点におけるペットの同行避難を想定した防災訓練などを含め、ペットの防災対策を、飼い主、地域、獣医師会、動物愛護団体及び行政が一体となり推進されることを要望します。

(6)社会資本の老朽化に対する本市の取組

わが党では、「人の命」と「わが国の政治・経済の中枢であり、首都直下型地震が予想される首都圏」をいかに守るか、を重要課題と捉えており、国においては首都高速道路などの社会インフラの老朽化対策についての議論が行われています。こうした中で、本市としても、その一翼を担うことが求められています。

本市は、国に対してより強力に主張すべきであり、我が党も社会資本の老朽化対策や防災・減災対策としてのインフラの整備や維持管理を推進する「防災・減災ニューディール」を掲げて推進しています。また、今回、地方の緊急的な防災・減災対策については、地方税の臨時税制措置が制度化されましたので、しっかりと活用してもらいたいと思いますが、更なる国への強力な財源確保等の働きかけをよろしくお願いします。

 4.脳血管疾患救急医療体制について

本市における、脳梗塞や脳出血などによる死亡者数は、年間2,500人を超え、死亡原因の第3位。しかも他の疾患と異なり、麻痺による後遺症を特徴とし、要介護者の多くが脳血管疾患を原因としているため、いざという時に、市内でどの医療機関が対応できるのか、市民には関心の高い疾患でもあります。

本市では、21年度から脳血管疾患の救急医療体制を運用し、参加医療機関から毎月受入体制情報を収集するとともに、その情報を救急隊に提供し病院選定活動を支援しています。
しかし、事前の情報では受入可能でも、救急患者の治療中や手術中などで受入が困難になるなど、時々刻々変化する救急受入状況の変化には対応が難しいようです。病院のリアルタイムな受入可否の情報を救急隊に提供できれば、脳血管疾患患者搬送の病院選定の短縮につながり、さらに市民が安心出来る医療体制になると思います。

 5.地域での子どもの育みについて

(1)子宮頸がん予防、ヒブ、小児用肺炎球菌の3ワクチン接種事業

子宮頸がん予防、ヒブ、小児用肺炎球菌の3ワクチン接種事業についてですが、これらは、発症時の重篤性や、先進諸国では既に実施済みでも我が国では未実施といういわゆる「ワクチン・ギャップ」解消の点などから、我が党がリードし、国が緊急促進事業として開始しました。横浜市においても、任意接種として、国の補助を受け平成23年2月から無料接種を行っています。私のもとにもたくさんの感謝の声が届いております。

本年4月以降、登下校中の児童等の列に自動車が突入し、多数の死傷者が出る痛ましい事故が相次いで発生しています。国でも対策が進められていますが、交通事故を未然に防止し、通学路の交通安全を確保するには、地域、学校、行政が連携し、先入観を捨てて、子どもの目線で通学路を点検し、対策することが重要です。
民有地が通学路である場合の安全確保も含め、先ほどのご答弁でもありました通り、本市では先進的に対策が進められていますが、過信することなく、引き続き、点検強化や施設整備など、通学路の交通安全対策を要望致します。

(2)指導要領改訂に伴う学校間格差の拡大

国の指導要領改訂により、小学校では昨年度から、中学校では今年度から、教科書が変わりました。最も大きな特徴として「授業時数の増加」があげられますが、特に中学校では数学、理科の指導内容が増え、教科書のページ数も増えているようです。

複数の塾に伺ったところ、学校による授業進捗の差や、教科書の中で取り扱う内容の違いが大きくなったようだとの声がありました。
私は、このままでは指導すべき内容が十分指導されない学校が出てくるのではないかと懸念しています。
さらに、新しい教科書には、「発展」と言われる部分も設けられ、その部分は子どもの学習状況によって取り扱ったり、取り扱わなかったりすることができると伺っています。
公立学校でおこなわれる公教育として、学校によって指導内容に差が生じる状況が起こることは、入学試験選抜で有利、不利が出るのではないかとの懸念があります。

(3)教員の負担軽減

教員の負担軽減についてですが、一般的に事務作業は電子処理が主流ですが、学校での指導要録などは手書きで処理するものが多く、教員の負担と伺っております。
残業時間の増加や事務処理比率の高まりが、報道でも取り上げられた転記ミスや記載漏れ、また精神疾患による休職教員の増加の一因とも想定されます。
その様な中、横浜で、大都市の先駆けとして昨年度小学校への校務システムの導入や今年度は中学校に着手していることについては評価しております。

 6.図書館サービスの充実について

(1)子どもの読書活動の推進

横浜市には、市立図書館をはじめさまざまな施設がありますが、施設にある図書資源を有効活用し、地域で子どもたちへの読みきかせ等を行っている市民ボランティアの方々のネットワークを強め、より効果的に結び付けていく必要があると考えます。

子どもたちが幅広く多くの本に触れることが重要ですが、市立図書館の図書購入費は、この10年間で約半分に減少。予算が厳しい中で、読書活動の取り組みを停滞させることなく進めるには、図書館だけでなく、地区センターなどが所蔵している図書などにも着目し、これらを活用する工夫が必要と考えます。

一方、学齢期の子どもたちの身近にある学校図書館。昨今、その活性化の必要性が指摘されており、多くの学校では、熱心な方々のご協力により、本の整理、図書室の飾り付けなどを行い、こうした取り組みが充実している学校図書館の利用率は格段に上がっているそうですが、中にはそうでない学校もあるようです。

学校図書館をより良くするためのひとつの方策として「学校司書」の配置があります。今年度、国はその施策の予算を地方交付税措置しており、県内でも相模原市や大和市等、既に8つの自治体で配置しています。様々な難しい環境もあるようですが、本市でも「学校司書」配置の実現に向け、検討を進めるよう強く要望します。

(2)図書館における電子書籍の活用

今、情報環境が著しく変化しています。例えば、国立国会図書館は所蔵する貴重資料のデジタル化を進めホームページで公開。さらに絶版資料を図書館等に対して自動公衆送信サービスの実施を検討中。横浜市立図書館は、「都市横浜の記憶」などデジタルアーカイブの公開、オンラインデータベースの提供など、様々な取り組みを推進しています。

 7.今後の鉄道整備について

これまで横浜市では、平成12年1月の運輸政策審議会第18号答申に基づいて、「みなとみらい線」や「グリーンライン」を整備し、現在、「神奈川東部方面線」の整備事業を進めています。
一方、高速鉄道3号線のあざみ野から新百合ヶ丘への延伸については、答申の目標年次である平成27年までに、横浜市域では開業、川崎市域では整備着手することが適当な路線として位置付けられていますが、困難な状況です。

 8.こどもの国駅のトイレの設置検討について

無人駅であるこどもの国駅の1日の乗降客数は約10,000人。駅前にはバスターミナルもあります。周辺のマンション開発等による人口増の中、ここには駅の内外周辺にトイレがないという問題があります。瑣末なようですが、横浜市の極めて残念なセクショナリズムが見えてきます。
こどもの国線は赤字路線の為、横浜市も毎年多額の運営費を補助し、無人駅へのトイレ設置は犯罪等につながる可能性から設置の予定はないとのこと。
一方、周辺環境ですが、こどもの国の来場客用トイレは開園時間のみ利用可能。駅前のコンビニエンスストアは構造上の問題からトイレが設置されておらず、それ以外の商店はありません。
こどもの国の開園時間帯はトイレがあるものの、それ以外は困った状況にあります。地元の町内会から区役所や横浜高速鉄道へトイレ設置の要望をしてきましたが、前進はありません。
公衆トイレを設置している資源循環局は、「利用者が少ない」とか、「電車を使っている人が使うのだから高速鉄道がつくるべき」などの説明。市民の側に立って自ら動こうという意思はありません。鉄道事業者を所管する都市整備局も「どうにもできない」とのこと。

 9.市政に対する市長の考え方について

市役所も部署によって異なりますが、一部の窓口や児童相談所や学校などの最前線では様々な問題と向き合い、その解決に取り組むものの、目先の対策には限界にあり、精神論と現場へのシワ寄せが現実のものとなっています。特別自治市となり、権限・財源を集中すれば何年かは持つでしょう。しかし、高齢化と税収減の流れの中、複雑な課題全てに行政が権限、財源をもって対処するという従来型の延長では限界があります。
市役所は「あれもやっている、これもやっている」と言いますが、現実の問題は解決していない。要するに変化に追いついていないということです。