公明党横浜市会議員団

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平成27年第2回定例会において賛成討論を行ないました。(5月29日)

5月29日(金)の本会議では、斉藤伸一議員が公明党横浜市会議員団を代表して、市第41号議案、平成27年度横浜市一般会計補正予算第1号について、原案に賛成する立場から意見を申し述べました。

私は、ただいま議題となっております市第41号議案、平成27年度横浜市一般会計補正予算第1号につきまして、公明党横浜市会議員団を代表し、原案に賛成する立場から意見を申し述べます。

振り返りますと、平成7年の「横浜市市庁舎整備審議会」から新市庁舎整備の必要性についての答申が示されて以降、新市庁舎の建設に向けた予算が議会に提出されるまでに、実に20年間もの期間を要したということは、新市庁舎の整備というものが本市の数多くある事業の中でも、特に慎重な判断を要する事業であったという証であります。
平成24年5月、市会に「新市庁舎に関する調査特別委員会」が設置されて以降、新市庁舎整備に関する検討が進む中で、我が党は、市会においてこれまで20年間にわたり、関内関外地区活性化の取組みも見据え積み重ねてきた議論を尊重しつつ、常に市民の視点を踏まえ、是々非々の立場でこの議論に臨んでまいりました。
 その過程では、単にスケジュールを優先するのではなく、収支シミュレーションをはじめとする、クォリティー・コスト・デリバリーの、いわゆる「Q・C・D」をしっかり達成することの必要性や、災害発生時の業務継続性の担保、技術革新が著しい中においても将来を見据えた高い環境性能の確保などについて、様々な視点から意見を述べてきました。
これらの意見が概ね反映されたものとして、平成26年3月に取りまとめられた新市庁舎整備基本計画に賛成した経緯があります。
新市庁舎整備の事業費は、市債も含め市民の皆さまからお預かりする、貴い市税によって賄われるものであり、一切の無駄を排して適切に執行されなければなりません。
コストの問題は、市民の皆さまの関心も高く、しっかりと議論を行うために、先日の本会議においても我が党の福島直子議員から確認させていただいたところであります。

まず、基本計画の時点から事業費が上昇している点についてですが、当初懸念されていたような「オリンピック需要の高まりによる資材・人件費の高騰」のほかに、新市庁舎に本来必要とされる「市民の利便性の向上」や「危機管理機能の強化」に加え、「社会保険加入の徹底などの社会的要請」という構造的な問題も考慮されたものであり、必要な機能.施設の見直しがされ、建設労働者の待遇改善につながるものであると理解しております。
 将来的な財政負担についても、市債発行額を中期4ヶ年計画で示されている計画期間内の6,000億円の範囲内で活用することと、横浜方式のプライマリーバランスを概ね均衡させる方針を変えずに、財政の健全性を維持するためにしっかり対応する旨、先日の本会議において市長から答弁がありました。
 収支シミュレーションでは、基本計画時は、「民間ビル賃借料等の30年間分である680億円の範囲で市債の償還が賄える」という説明でありましたが、今回の試算では約1億円上回り、また、現市庁舎を使い続けた場合との費用の累計額の逆転時期も、48年の見込みが51年と、3年遅れることになりました。
これについては、新市庁舎が最先端の環境技術やライフサイクルコストを考慮した建物および設備を導入し、さらには100年という長期間の使用にも耐えうる旨の市長の答弁があり、今後、徹底した行政改革に取り組むことを前提として、許容できる範囲にあると考えます。

また、行政部分の面積について、基本計画より約3,000平方メートル減らす対策が、その後の見直しでも維持されております。これは、会議室や打ち合せスペースの不足といった課題や、将来の変化に対応できるのかという懸念がありますが、執務スペースの可変性や倉庫と事務室の互換性を高めることなどで柔軟に対応できるとのことであり、コスト抑制の観点から評価したいと思います。
仮に、現市庁舎を使い続けた場合、建物躯体のコンクリートが維持されたとしても、設備や外装など、建物の性能を一定の水準に維持するためには、修繕などで相当の費用(シミュレーションでは、今後、50年間で約90億円)が必要になるものと見込まれます。
しかも、新しいビルとは異なり、いくら費用をかけたとしても、自由度の高い執務スペースや、先進的なICT環境を整えることは難しく、業務効率性を高めるには自ずと限界があります。
賃借中の民間ビルについても、今後、多数のビルが老朽化により建替えせざるを得ない時期が到来することは明らかであります。その際の移転費や、新しいビルへの移転による賃料負担の増加なども加えると、現状をそのまま放置しておくことが、コスト面から妥当とはいえない状況であると考えます。
現市庁舎は、著名な設計家である村野藤吾(むらのとうご)氏によってデザインされており、市民にも愛着のある建物でありますが、施設の老朽化や狭隘化、そして分散化の問題は、いつまでも放置できる状態ではありません。
特に分散化については、市会定例会の開会中に、事業説明などで多くの職員が各ビルから議会棟まで頻繁に行き来しますが、移動などのために費やされる時間は相当なものがあり、人件費の観点からも損失が大きいと実感しています。
また、民間ビルについては、行政に求められる災害発生時の業務継続や情報伝達に深刻な影響が出ることも明らかであります。実際に、災害が発生しても、各区役所があるから大丈夫だ、という意見も聞かれますが、発災直後ならともかく、その後、すぐに国や自治体と連携し生活支援や復興に向けた施策を推進する本部機能が必要になることが、これまでの震災からも明らかであります。
地震のほかにも、台風や暴風雨などの風水害も頻発し、危機管理機能の強化が強く求められる中で、災害復興に必要な部署が分散化された現状を放置していることはできないと考えます。
 昨年度には、市民意見募集が行われましたが、大岡川沿いの親水空間を活用して欲しいといったご意見が寄せられておりましたが、こうしたご意見に対しては、大岡川沿いの水辺の憩い空間とアトリウムをつなぎ、人々が回遊する空間を設ける計画とするなどの考慮がなされています。
また、市民や来街者が集い、憩えるアトリウムなどの市民利用スペースについても、エレベーターの追加設置などによる動線の強化が図られており、どなたにも優しい市庁舎となることが期待されます。 また、市内経済活性化の観点から、これほどの大規模な事業なので、WTO案件となることはやむを得ないとしても、できる限り、市内企業にも参画の機会を提供するよう、要望してきました。
今回、WTOに抵触せず、新市庁舎整備のスケジュールに影響することなく工事ができるとして、低層部の内装などの工事が確保されたことは評価します。
今後も、市内企業の参画について、機会を捉えて、できる限り間口を拡げて取り組むよう、この点については強く要望します。

以上、これまでの長年にわたる議論のすべてをこの場において表現はできませんが、議論を尽くし、様々な課題に前向きに対応しながら取り組んできた今回の計画であります。
今後も市民の皆さまにその必要性を理解していただけるよう、引き続き丁寧な説明に務めるとともに、将来、私たちの次の世代、さらにその次の世代が、あの時の判断は正しかったと、長きにわたり市民に愛され、喜ばれる市庁舎となるよう、着実に事業を進めていただくことを要望し、公明党横浜市会議員団を代表しての討論を終わります。