公明党横浜市会議員団

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令和4年第1回市会定例会において一般質問を行ないました。(2月22日)

2月22日(火)の本会議では、行田朝仁議員が公明党横浜市会議員団を代表して、令和4年度横浜市各会計予算及び予算関係議案に関する質疑について質問いたしました。

以上、山中市長、鯉渕教育長、三村交通局長に質問いたしました。

1. 認知症対策について

現在、国では認知症基本法案の議論がわが党のリードで続いておりますが、本市では、令和3年3月に基本法案に先駆け、横浜市独自の認知症施策推進計画を策定し、認知症対策の方向性を具体的に示したことを高く評価しております。

他都市で、認知症対策推進のため、条例化などの取り組みが広がっていますが、本市においても、早期発見・早期治療のため、最適な手法を駆使し、全国に先駆けた取組を推進するよう要望します。

2. 成年後見制度について

認知症の方が安心して暮らすため、法的に権限を与えられた後見人などがご本人の意思を尊重し、財産管理や介護サービスの契約などを結ぶことができる成年後見制度の利用が重要な手段です。
 この制度が必要であるにもかかわらず、利用していないという方や、利用に一定の時間がかかることを知らず、結果として使えないなど、なかなか利用しにくい制度であると感じています。

支援の手が届くよう、しっかりと取組んでいただくことを要望します。

3. 骨髄ドナー登録の普及・促進について

白血病などに効果がある造血幹細胞移植には、骨髄移植等のほかに、さい帯血移植があります。
 公明党は保険適用や公的バンクの設立を求める団体を支援し、当時の浜四津代表代行が国会で取り上げ、法制化しました。
 本市でもドナー登録拡大の取組を進めており、私も青葉区の中学校にご相談し、今週2月25日に骨髄ドナーの大切さを伝える授業を、神奈川骨髄移植を考える会のご協力を得て実施することになりました。このように、未来を担う若者の理解を深めることが重要です。

4. 保育・幼児教育分野及び介護分野における人材確保について

「エッセンシャルワーカーの人材確保は待ったなしの課題です。
 まず、保育・幼児教育分野についてですが、現在、コロナ禍の厳しい状況が続いていますが、今後も働き続けたいと思って頂ける支援が重要です。

人材確保は、現在働く方々への支援と、将来に向けての取組が必要です。保育園や幼稚園の現場は、「仕事のわりに給料が低い」というイメージをお持ちの方も多いと思います。
 しかし、保育士の給与面においては、我が党の国会での取組により、平成25年度から毎年のように賃金が改善されています。令和2年の国の統計によると20代前半の平均年収は、保育士は約305万円、一般事務は約270万円となっています。これに加えて本市では、市独自の処遇改善や、住居支援などを行っています。まだ不十分なところもありますが、メディアなどによる、年齢、年代も関係ない、全産業の平均との比較などなると、客観的な情報が世間に伝わらないように感じます。
 将来に向けた人材確保においては、中高生、またその保護者に対しても、この仕事が人を育てる大きなやりがいと、魅力にあふれていることをしっかりと情報発信していくことが重要です。

介護職員においては本市では、3年後の2025年の人材不足数が約6,500人と推計されるなど、大変厳しい状況です。
 これまでも様々な人材確保策を進め、来年度の予算案にもありますが、高まる介護ニーズに対応するため、まだまだ手を打っていかなければなりません。

これまで国でも、本市でも、様々な対策を行ってきましたが、これまでは、短期的な対策に終始してきた感があります。
 事業者の努力に任せることには限界もあり、行政としても、より中長期的な視点で、さらなる対策、特に若い世代への対策に取り組んでいく必要があります。
 先程の保育士・幼稚園教諭等についても同じことがいえますが、例えば、小・中学生のころから人の命の大切さや、人に関わる仕事の重要性や魅力を伝えることで、将来介護分野及び保育・幼児教育分野で活躍する人材が増えるのではないでしょうか。

問題解決に向け、局を越えて連携し、一丸となって対応していくことを要望します。

5. 中学校給食について

我が党が長年にわたり要望を続けてきた、中学校給食が開始され、間もなく1年が経過します。現在の選択制のデリバリー型給食は、教育委員会をはじめとした関係者の努力と、アンケート結果など客観的な根拠に基づく市会での議論の積み重ねの結果、実現したものです。
 来年度予算案では、「さくらプログラム」の実施校を、今年度の86校から全145校に拡大し、喫食率を30%にするとしています。
 「給食を利用しやすい環境づくり」を進める上でも、教育委員会や学校から給食の利用を推奨することと併せ、学校内でも、生徒に給食を受け渡す配膳体制も強化する必要があります。

もう一つ、現在の給食を発展させていくうえで力を入れて取り組むべき課題は、「イメージの改善」です。
 横浜の給食の実態を知らない人たちによる、給食を批判する心無い発信によって、根も葉もない噂が広まり、中学生の保護者の皆様や生徒自身に、給食の利用を躊躇してしまう雰囲気を作ってしまったことは大変残念です。

これまで積み重ねてきた議論や努力を無にすることなく、デリバリー型給食の更なる発展に全力を注ぐよう要望します。

6. PFSの導入推進について

近年ではSDGsやESG投資に注目が集まる中、民間企業でも社会課題への関心が高まっており、ビジネスの手法で解決するソーシャルビジネスも活発になっています。
 そこで、私が注目しているのは、民間ノウハウを活用して事業を実施し、成果に応じて報酬を支払う成果連動型民間委託、英語のPay For Successを略してPFSとも呼ばれています。
 本市も、なかなか前に進まない、そうした課題を、民間活力を活かして解決するための手段として、このPFSを庁内に根付かせていくべきと考えます。
 そこで、来年度予算案にも盛り込まれております。

PFSは、民間事業者とリスクを分担して、より高い成果を生み出すインセンティブを事業者に与える契約手法ですが、その成果支払いの条件が厳しすぎると、民間事業者に過度なリスクを負わせることになり、事業が成立しないなどの問題もあるため、リスクとリターンの設計は簡単ではありません。
 そうした事業設計プロセスの負担感も課題で新たな手法であるPFSを庁内の様々な部署で活用していくには、ハードルも少なくないと思いますが、積極的に活用し、なかなか前に進まなかった課題解決が加速することを、私も強力に応援してまいります。

7. 温暖化対策

(1)温暖化対策について

本市は2050年ゼロカーボンヨコハマを目指していますが、先般、市長は市政方針において、本市の2030年温室効果ガス50%削減の目標を表明され、大変意欲的なものと感じています。
 しかし、最新の2019年の削減実績では18%の削減にとどまっており、あと8年ほどで50%にするのは、並大抵のことではありません。市長の責任は極めて重いものがあります。

(2)市内中小企業のSDGs達成・脱炭素化支援について

SDGs未来都市としての取組を始めて3年が過ぎ、ぜひ注力してほしい取組の一つが、横浜市SDGs認証制度「Y-SDGs」です。
 客観性の高い制度であることは評価するものの、本市の事業者数は11万余に及ぶこと、また認証取得をはずみに経営の持続可能性を高めようとする事業者の意欲を鑑みると、まだまだ足りません。認証件数を大幅に増やし、より多くの事業者が活用できるようにすることが急務です。

2030年のSDGs、また2050年の脱炭素化の達成は、いずれも簡単な目標ではありませんが、市内中小企業をしっかりと支えつつ、達成していただくことを要望します。

(3)ごみ焼却工場の脱炭素化について

二酸化炭素を分離・回収し利用する技術をCCUと呼びますが、まだまだ新しい技術であり、コストが高いことや回収した二酸化炭素の利用先が限定されるなど課題が山積しています。
 しかし、横浜市役所の温室効果ガス排出量の41%を占めるのが一般廃棄物事業であり、二酸化炭素最大排出施設であるごみ焼却工場の脱炭素化の推進は必須です。

こうした新たな取組を積み重ね、現在計画を進めている保土ケ谷工場の再整備の際にも、しっかりと導入されることを要望します。

(4)プラスチックリサイクルの推進について

海洋プラスチックごみや地球温暖化といった問題を契機に、素材としてのプラスチックがクローズアップされる中、「プラスチック資源循環法」が、いよいよ今年4月に施行されます。
 製品プラスチックのリサイクルは、国が制度を構築しましたが、実施するのは市町村です。ハードルは高く、多くの市町村が実施の難しさを抱えているとの報道もあります。しかし、脱炭素の実現に向けて、日本の総人口の約3%を占める人口377万人の横浜市が、全国、ひいては世界のモデルになるよう、先頭を走っていくことが求められます。

大いなるチャレンジが期待される今、市長が先頭に立って、前向きに検討いただくことを期待します。

(5)下水道事業における温暖化対策について

横浜市役所の温室効果ガス排出量の17%を占めているのが下水道事業であり、温室効果ガス削減を強力に推進すべき対象です。
 これまでも汚泥由来のバイオマス発電や汚泥資源の燃料化を導入するなど、比較的早い時期から積極的に温暖化対策へ向けて取り組んでいますが、今後より一層知恵を絞り工夫した取組に挑んでいく必要があります。

下水道事業が、率先して温室効果ガス削減に取り組んでいただき、安全安心な市民生活の確保と温暖化対策の取組を両立させることを期待します。

8. 下水道事業について

下水道は、休むことなく市民生活を支え、快適な環境を守っています。また、大雨から市民の安全・安心を守り、さらには、地震発生時にも、その機能を発揮することが期待されています。
 震災時に問題となるのがトイレです。現在、地域防災拠点のトイレの整備が、令和5年度の完了を目標に進められています。整備に加えて、それらにつながる下水道管の早期の耐震化が必要です。
 地震災害への備えだけでなく、水害への備えも重要です。

下水道事業は、市長が最高責任者です。市民、街を守る、さらには、大地震へ備えるよう、しっかり取り組んでいただくことを要望します。

9. 管理不全な空家等対策の推進について

市内には、一戸建ての空家は約2万戸、そのうち、劣化や傷みのある、いわゆる管理不全な空家は6,400戸あると推計されています。
 こうした中、我が党では、空家の外壁の落下などに対する緊急的な措置の重要性を主張し続け、令和3年8月には「横浜市空家等に係る適切な管理、措置等に関する条例」が施行されました。翌月までには、所有者がいない空家に対して、応急的に危険な部材を取り除く危険回避措置が速やかに実施され、我が党としても、手ごたえを感じているところです。

この条例の施行を契機とし、管理不全な空家の防止・解消に向けて、着実に取り組んでいただくことを要望します。

10. 市民の安全・安心に関わる「地域防犯対策事業」について

本市では地域防犯対策として、LED防犯灯設置事業や、県と本市で協働して行っている地域防犯カメラの設置補助事業を地域と連携して行っていますが、まだまだ地域ニーズには十分応えられていません。
 不安定な社会情勢だからこそ、これらの事業は非常に重要で、継続的にしっかりと進めていかなければなりません。

これらは継続してこそ効果的な成果を生み出す事業です。今後も市民の安全・安心を確保するため、継続的に取り組んでいくことを要望します。

11. 地域交通の維持・充実について

我が党では定例会ごとにこの問題を取り上げていますが、生産年齢人口の減少、働き方の変化などにより、路線バスの減便が進むなど、地域の足に大きな影響が生じています。特に運転免許返納、バス停まで歩くのがつらい高齢者の方にとっては、買物や通院もままならず、日常生活における死活問題になっています。
 一方、関係局が多い取組のため、「実験の結果がまとまらない」、「検討に時間がかかりすぎる」など、成果が出ずに、地域交通問題がますます深刻化する懸念もあります。
 また、先の第3回定例会総合審査では、市長から「敬老パスの在り方と地域交通を総合的に検討していく」との答弁をいただきました。

課題解決に向けて、施策を強力に推し進めていただくこと要望します。

12. 若手職員のモチベーション向上

(1)若手職員のモチベーション向上について

これまで申し上げてきた様々な課題解決を進め、市民ニーズに応えていくためには、今後どれだけ優秀な人材を確保し、育成していけるかが鍵となります。どれだけ市役所が立派になっても、人は石垣、人は城であります。
 私はこれまで、管理職や若手、企業局の現場の方など様々な職員と話をしてきましたが、市民のために働きたいと熱意を持って入ってきた若手が、思う存分に働ける人事給与制度になっているのかと気になっています。

一足飛びに変えることは難しいかも知れません。激変緩和策を講じながらも、制度見直しの第一歩を着実に踏み出していただくことを要望いたします。

(2)交通局においても、雇用に関する課題について

平成18年に市営交通が改善型公営企業として位置づけられて以降、人件費の抑制など様々な企業努力により、自主自立の経営を実現してきました。また、平成23年には、8年間停止していた正規職員の採用も再開した経過があります。
 しかしながら、採用再開後の若手職員からは、「同じ仕事をしていても、ベテラン職員に較べて給与が低く抑えられている」との声が、私の元にいくつか寄せられております。
 昨年、創業100年を迎えた交通局にとって、次の100年を支える若手職員の声にしっかりと応えていくことは、非常に重要であり、彼らが意欲を持って働ける環境づくりが不可欠です。

13. 市民の安全・安心に関わる「地域防犯対策事業」について

来年度予算案で2021年に本市の人口動態が戦後初めてマイナスになったことが示されました。予算案全体に流れる問題意識であり、それに基づく各局の施策だと認識しております。
 本市に限らず、日本社会全体で生産年齢人口が減少する中、将来にわたり成長を続けるには、もはや外国人の皆様の活躍なしには成り立たなくなっている、との現実を直視しなければなりません。

受入を進める過程で様々な摩擦も生じるかもしれませんが、それを乗り越えて多様な人材と共生し、成長を引き出す社会に変われるか、本市の覚悟が問われています。外国人材から選ばれる都市・横浜への取り組みの一層の強化を要望します。

14. 東アジアの都市と連携した国際平和の実現について

現在、我が国と中国との関係は非常に難しい状況にありますが、公明党は、日中国交正常化をはじめ、節目節目で大きな役割を果たしてきました。中国の人権状況に対する国際社会からの懸念については十分承知しており、基本的人権はいかなる政治体制でも尊重されるべきと考えます。
 国同士がいかなる状況であれ、両国市民の願いは、平和な社会であり、自身や家族の幸せであります。
 2022年は日中国交正常化50周年、来年2023年は横浜市と上海市の友好都市提携50周年という大きな節目の年が続くことを踏まえると、この機会に都市レベルでの友好親善を一層推し進め、アジアの平和と安定への貢献に活かしていくべきであり、大事なことは具体的な行動であると考えます。

国同士の関係が難しいときこそ、ピースメッセンジャー都市としての使命感を持って、自治体ならではの国際交流を進め、世界の平和に貢献していくことを期待し、公明党横浜市会議員団を代表しての質問を終わります。