公明党横浜市会議員団

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平成21年第3回定例会で一般質問を行いました。(9月15日)

9月15日(火)の本会議では、木村久義議員が市長の所信表明を受け、公明党横浜市会議員団を代表し、市長の市政運営上の基本的な考え方、財政再建と行政サービスの充実、組織風土づくりについて、林市長に質問いたしました。

  1. 「市政運営上の基本的な考え方ついて」
  2. 「財政再建と行政サービスの充実について」
  3. 「組織風土づくりについて」

以上、3項目にわたり、林市長に質問しました。

 1.市政運営上の基本的な考え方について

私達 公明党は、結党以来、福祉・平和・教育・環境・人権に加え中小企業対策などを重要政策と位置づけ、横浜市政におきましても同様の視点で、横浜市民の生活の充実を最大目標に、歴代の市長に対し様々な政策提案を行ってまいりました。
今後もこの議会で大いに議論し、横浜市民の為に全力で取り組んでまいる所存であります。
さて、この8月30日の横浜市長選挙で第三十代の横浜市初の女性市長が誕生いたしました。
これは多くの市民が女性の市長に期待するところが大きい事のあらわれでもあったと思います。市長は、選挙期間中に配布した政策集のキャッチコピーに「横浜市政に女性の感性を!」と謳(うた)っています。

公明党横浜市会議員団では2007年に今後の横浜を見据え新しい人とまちのあり方を示した「横浜21ビジョン」を策定いたしました。そのビジョンが提示する三つの方向の一つに「女性が社会のあらゆる分野で活躍できるまち横浜」の構築との指針があります。
人口減少時代の産業組織において最も必要なことは、男女の性差にとらわれる事無く一人の一人の個性や能力を重視する働き方の転換です。社会活動を目的とする様々な組織においてもこの原理は同じ事と考えます。

女性の感性を活かした市政運営を行うことにより、男性市長であった中田前市長の市政運営とは異なる姿勢、判断がでてくるものと思います。
林市長は選挙期間中に、中田前市政の良いところは引き継ぎ、改めるべきところは改めるとおっしゃっていました。女性の感性で現在の市政全般を俯瞰すると、いろいろなところで市政の進め方を改善しなければならないところがあろうかと思います。

厳しい財政状況をはじめ、刻一刻と変化する社会経済情勢のなかで、慢然と前市政を継続することはあり得ないと考えます。
ゆたかな市民生活の維持・発展を目指し、市政を強力に推し進めていく為には、時代状況を的確に把握し市民にとって最善の施策・事業を展開する必要があります。
市長は、政策集で、「おもてなし」精神の行政サービスをとおっしゃっております。「おもてなし」とはお客様を迎え、喜んでいただけるよう待遇する事だと思いますが、市政に当てはめると、市民の望むサービス、市民満足度を高めるサービスを提供するという姿勢で市政運営にあたることでしょうか。

市長は、選挙期間中、政策集で「5つの目線」で取り組む政策課題を提示されました。それぞれ、「横浜市民の為」「横浜の為」を考え作成したものと思いますが、いずれも、いつまでに、どのような目標を達成するのか明確にはなっておりません。
立候補から選挙まで短い期間であった為、詳細はこれから検討するというものもあると思いますが、市長の思いを市民にわかりやすく説明することが必要です。

市長は、市長選挙に向けた政策集で5つの目線を掲げ、その一つに「国際都市化はグローバル目線」をあげておられます。
これを読んでみますと『ヨコハマは既に国際都市としての地位を確立していますが、国際都市化を更に進める事により世界から見たヨコハマの存在感を高め、経済の活性化を図ります。』として、交換留学、スポーツ交流など多様な形態での国際交流、年間150回以上の国際コンベンション開催や羽田空港の国際化や港湾の機能強化を図り、経済の活性化を実現するとしています。既に横浜市には、目指す方向として更なる国際都市化を目指し、人々が訪れたい街や企業が進出したい街など、より大きな視点に立った計画である「国際都市戦略」がこの4月に策定されました。

 2.財政再建と行政サービスの充実について

財政再建は市政を運営していく中で、最重要課題のひとつであると考えます。中田市政では、市債の発行抑制を続けることにより、任期中に一兆円近くの借入金の削減や行政のスリム化などによってコストの削減を行ってきました。
しかしながら、先日の所信表明で市長も述べていたとおり、昨年秋の世界的な金融危機の影響で、日本経済は大きな打撃を受けており、本市においても中小企業の経営を非常に厳しいものとし、市の税収も大幅に落ち込むなど、大きな影響が出ています。
平成21年度の税収見込みが、当初予算に比べ215億円も減る見込みとなっている上、今後、更に税収が落ち込むことが予想されるなど、本市の財政状況はまさに危機的であるといわざるを得ません。
このような状況の中で、市長は、選挙の際には、「財政再建は経営者目線」と訴え、「市債の発行を全会計平均で前年度比5%削減する。」としております。
21年度当初予算に計上された市債は一般会計・特別会計・企業会計をあわせた全会計では約2,014億円であり、全会計の5%となりますと、100億円を超す額を減らすことになるわけです。
しかし、自治体には、自治体自身の財政状況をどうコントロールするかだけではなく、市民の生活や市内経済全体についても配慮が求められます。
本市では、市を取り巻く現在の状況を「通常の年度とは異なる財政運営が求められている。」と捉え、21年度当初予算では、特別会計等で余った発行枠を一般会計で活用することで、市全体としての財政規律は維持しながら、一般会計の市債発行額を6年ぶりに前年度より増やすなど、緊急的かつ柔軟な対応をしました。
これらの事を考え合わせると、世界同時不況の影響を受け、更なる市税の減少が見込まれる中では、「必要な事業を着実に行いながらこれだけの市債発行額を減らすことは極めて困難ではないか。」というのが私の率直な印象であります。
市長は、所信表明で、「これまで企業再建に携わってきた経験も生かし、市の財政状況を改善する。」と述べられました。

財政状況が厳しい中でも、都市基盤を整備し、都市の価値を高める街づくり事業は、将来への投資として着実に推進していく必要があります。特に横浜都心部においては、横浜駅周辺 大改造計画や関内・関外地区 活性化推進計画の検討が地域や地元の皆様の意見を伺いながら進められてきております。
しかしながら9月4日の新聞報道によりますと、市長は、新市庁舎の整備に関して「先送り」や「見直し」をお考えのようですが、この事業について横浜市は、単に市庁舎を整備するだけでなく、関内地区等の街づくりを一体的に進めるものとして、市会においても議論を重ね、推進してまいりました。

本格的な高齢社会がいよいよ到来し、本市の高齢化率も19%に達しており、実に市民の5人に1人が高齢者という時代を迎え、今後も、さらに高齢化は進展するものと予測されます。
市長は、所信表明の中で、高齢者施策については、安心して生き生きと暮らしていけるような視点から、様々な施策を述べられていましたが、我が党としては、将来の横浜を考える上でも、高齢社会への取組みは、今、私たちが真っ先に取り組まねばならない重要な課題の一つと考えております。
高齢社会の中にあって、私は、高齢者ご本人だけでなく、市民や社会全体が、高齢社会にかかわる様々な問題に広く関心を持ち、高齢者福祉の向上と、長年の社会貢献に感謝する敬老精神の醸成が大切であると考えております。

様々な高齢者福祉の事業がある中で、本市の高齢者が、特に関心を持っているものの一つに、敬老 特別乗車証 交付事業があります。
70才以上の高齢者約32万人に利用されているこの事業は、高齢者の社会参加の支援を目的として、昭和49年に実施され、30年以上の長きに渡り、本市の高齢者に利用されているものです。私のまわりにも、敬老 特別乗車証を利用して外出している方がたくさんおり、大変喜ばれております。高齢者にとっては、健康維持の面からも役立っているものと考えます。

本事業は、高齢化の進展に伴う利用者の増加により、年々事業費が増大し、本市では、制度の見直しについて、様々な観点から検討を進めていると聞いております。
昨年度は利用者負担額の改定がなされたところでありますが、高齢者の中からは、「市の財政状況が厳しい中で、このまま事業費が増大すると、いずれ事業が廃止されてしまうのではないか」という不安の声も聞かれます。

敬老特別乗車証 交付事業は、単に高齢者の社会参加を支援するというだけでなく、外出することによる健康の維持や、閉じこもり防止などの効果も期待されます。長く事業を継続していけるよう取り組んでいただくことを要望します。

 3.組織風土づくりについて

トップの目指す方向性によって組織の形も変わってくると思いますが、中田前市長は、新しい行政運営の基本理念である「協働」「分権」「都市経営」を推進する為、平成17年・18年度にかけて大幅な組織機構の見直しを行いました。
このときの機構再編では、「政策」「財政」「運営」の連動のもとで全市的な都市経営を推進するための都市経営局、行政運営調整局の設置や、水と緑をはじめとした豊かな都市環境を創造するための施策を一体的に推進する環境創造局の設置などを行いましたが、一方では、事業の見直しなどにより、中田市政の7年間で 7,000人、市立大学を除いても4,300人近い職員が削減されるなど、一方では職場には疲弊感が漂っているとも伝えられてきております。
林市長は、先日の所信表明演説で、市政の方向として「人の心を大切にするぬくもりのある市政」を掲げられていますが、これまで民間企業で培われてきた経営感覚を生かして、行政の組織風土の改革に取り組まれる事と思います。

市長は、これまでの民間企業でのさまざまなご経験から、「顧客満足度をあげるためには、じつは従業員満足度を上げることがとても大事である」と述べています。
まさに、顧客の満足が従業員の喜びにつながる、従業員の満足度が、お客様の幸せにつながる、そうした双方が信頼感を作る関係を作ることが大切です。
しかしながら、職員に対して、「もっと、おもてなしの心を」といくら力説したところで、ただの上位下達では、職員に伝わりません。
市長がいう「おもてなしの心」を大事にする組織風土について、どのような方法により実現していくのかということが重要となってきます。

市長は、先日の所信表明において、「横浜市全体が一枚岩となって取り組んでいくことが私の理想であり、その実現に向かって努力していく」と述べられました。
その為には、まずは組織のトップとして、職員の人心を集め、チームとして横浜市役所の組織をまとめていく事に取り組むべきだと考えます。
先ほども申し上げましたが、昨年度に実施した「職員満足度調査」の結果から、今の本市の職員の間には、疲弊感が漂い、士気が低下している状況が見受けられます。
こうした職員を前に、市長は、みずからの役割を「コンダクター」であるとしています。

市民の生活が日々営まれている限り、市政の停滞は許されません。具体的な施策ついて、真摯な議論と実現に向けて着実な歩みを進めてまいりたいと考えます。さらには、少子高齢人口減少社会が進展する中、今後の横浜について、大いに議論してまいりたいと申し上げ、公明党横浜市会議員団を代表しての私の質問を終わります。