公明党横浜市会議員団

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平成22年第1回定例会において関連質疑を行ないました。(2月25日)

2月25日(木)の本会議では、高橋正治議員が公明党横浜市会議員団を代表して、平成22年度予算案に関連する事項について、林市長に質問いたしました。

  1. 将来の横浜の都市像について
  2. 「将来にわたるあんしん施策」と地域力について
  3. CO-DO30における市民協働について
  4. 屋外照明のあり方について
  5. 横浜みどりアップ計画について
  6. 市内にある既存中小製造業の成長戦略について
  7. 下水道の老朽化対策について
  8. 現在の子どもや若者が抱える課題について
  9. 子育て家庭・介護家庭のための安心施策について
  10. 小児医療費助成について
  11. ヒブワクチンの公費助成について
  12. 女性特有のがん対策について
  13. 高齢者施策の方向について
  14. 精神障害者への生活支援に関して

 1.将来の横浜の都市像について

開港150周年の節目を経て、今、将来の新しい横浜の都市像をデザインしなければならない時を迎えております。引き続き、インフラ整備は必要ですが、毎日の暮らしのなかで喜びを共有し、苦労を分かち合い、横浜に住んでよかったと思える社会を構想しなければならないと考えます。そこで大切なキーワードは「つながり」あるいは「絆」だと提案したいと思います。
2020年以降、人口が減少する横浜が、市民と市民がつながり、市民と行政がつながりさまざまな地域課題を解決し、安心で安全な都市として発展していく、そういう将来図を描くことが必要だと考えます。

地域コミュニティの醸成に向けては、防犯パトロールや防災の取組、地域の美化活動など、自治会町内会が重要な役割を果たしており、地域の絆を大切に顔の見える関係を築き、様々な地域課題の解決に寄与しております。
自治会町内会をはじめとした、地域の多様な団体が集まって、話合いをしながら課題解決を目指す取組も始まっていますが、地域に最も身近な総合行政機関である区役所の地域に対する支援も大きいと考えており、期待しているところです。

 2.「将来にわたるあんしん施策」と地域力について

「将来にわたるあんしん施策」は、これまでの障害者施策推進協議会や個別に立ち上げたプロジェクトチームでの検討のほか、9月からは11回もの市民説明会を行い、さらに障害のある方やご家族、障害者団体等への説明や意見交換は約70回を重ねるなど、様々なご意見を伺ってきたと聞いております。

市長は市政運営の基本方針で「現場主義、生活主義」を掲げ、「誰もが地域でのつながりを大切に、安心して過ごすことのできる横浜の実現」とおっしゃっていますが、私もまさに、これからの時代は「地域で支える協働型福祉社会」こそが豊かな地域社会づくりのキーワードであると考えています。そして、「将来にわたるあんしん施策」の担い手は地域社会の支えあいの中にこそ求められると考えます。 

21年度から実施されている障害者プランにも「自助・共助・公助」があいまって、障害のある方の地域生活を支えていくという考え方が掲げられていますが、この「将来にわたるあんしん施策」を通じて、「地域で支えあう社会」づくりに取り組んでほしいと思います。

 3.CO-DO30における市民協働について

22年度予算案には、「持続的な脱温暖化に有効な制度や仕組みづくり」に取り組むことが掲げられています。地球温暖化対策は、数年取り組めばすぐに効果が出るようなものではなく、むしろ何十年又はそれ以上にわたる継続的な取組が求められるものです。この意味で、しっかりした制度や仕組みによって取り組みやすい環境を整えることは大切です。ただし、CO-DO30の推進にあたっては、市役所は「制度や仕組みを作り上げれば終わり」ではなく、それが有効に機能するような更なるはたらきかけが必要と考えます。

いわゆる一般市民との協働については、地球温暖化対策への関心の度合に応じて様々なアプローチを行うなど、工夫が求められるところだと思います。特に、現在はそれほど関心の高くない層、あるいは関心はあっても具体的な行動に踏み出していない層をいかに動かしていくかが肝心であると考えます。自分が何をしたらよいのか分からない市民には、手軽に始められる取組を正しくお伝えし、行動を始めた市民には、それが継続するように支援を行うといったことが大切です。相手の意識が変わり、行動が変わるところまで粘り強く取り組んでこその「協働」であると考えます。

市民、企業を問わず、いかに地球温暖化対策に取り組む裾野を広げていくかが、CO-DO30を推進していくために本市に求められる役割だと思います。労を惜しまず汗をかき、産官学民一体となった地球温暖化対策を強力に推し進めていただきたいと思います。

 4.屋外照明のあり方について

防犯灯の歴史は、夜の街が、女性や子どもたちが安心して歩けなかった、昭和30年代に始まります。
当時の政府が、闇における犯罪防止、公衆の安全を図る目的で、昭和36年に全国的に“明るい街づくり運動”が展開され、本市では、現在、約17万8千の防犯灯が設置されています。
一方、照明技術の分野では、1993年に、青色発光ダイオードが発明されたことにより、白色のLED照明が実用化され、地球温暖化対策に貢献できる、第四の灯りとして注目を集めているところです。
本市では、この新しい技術の防犯灯への応用に着目し、20年度から研究を開始し、フィールドテストも実施しました。

先日、「平成21年度 包括外部監査の結果」が報告されたところですが、「どの程度の明るさなら犯罪を防止できるのかについての、具体的な目標値が示されておらず、どのような場合に防犯灯を設置するのか、基準が不明確である。予算の範囲内であれば、住民の要望に応じて防犯灯は設置されつづけるので、防犯灯は増加する一方である。」との指摘がされています。
確かに、他の屋外照明との重複、光の害など、多くの課題があると考えます。今後、都市の重要なインフラとして防犯灯はどうあるべきか、きちんと整理していく必要があると思います。

 5.横浜みどりアップ計画について

横浜の緑の多くが民有地であり、土地所有者の皆さんのご苦労によって保全されている事実を市民全体が理解し、「緑豊かなまち横浜を次世代へ」という「横浜みどりアップ計画」の考え方などを、土地所有者も含めた市民意識として醸成していくことが必要であると考えます。

横浜みどりアップ計画は、スタートから1年が経過し、推進に対しては、多くの市民が注目しているところです。まずは、初年度の取り組みの成果を市民にしっかりと、そして、わかりやすく示し、市民理解の促進につなげていただきたいと思います。

 6.市内にある既存中小製造業の成長戦略について

製造業の発展が経済の活性化に大きく寄与することは言うまでもありません。
多くの製造業が立地し、日本の産業を支えてきた横浜においては、既存の製造業が元気を取り戻し、成長を続けていくことが大変重要であると考えます。
そのためには、技術革新に取り組み、自らの技術力向上を図ることや、環境関連、医療・介護分野、子育て関連など今後の成長が見込まれる新たな分野に挑戦して市場を切り開いていくことが重要と考えます。
企業の研究開発や技術力向上への取り組みを支援する制度として、横浜市ではこれまでも、SBIR事業などの研究開発支援を実施してきたところですが、市内中小企業の技術力が、子育てや介護など、身近な製品開発に活用されることで、豊かな市民生活が実現するとともに中小製造業の活性化につながると考えます。

近年のオープンイノベーションの考え方のもと、新たな知財戦略の一つとして、大手企業が保有する開放特許を中小企業に移転することにより、優れた技術が埋もれることを防ぐとともに、中小企業の技術革新を図る取り組みが行われています。そして、大手・中小の双方がウィン・ウィンの関係を築き、技術の価値をより高めて活用することが可能となります。
本市においても、企業立地促進条例の支援を受けて、日産、富士ゼロックスを始めとした優れた技術を持つ大手企業が進出しており、市内の既存中小企業との連携を深めることで産まれる相乗効果は大きなものであると考えます。

 7.下水道の老朽化対策について

本市の現在の下水道普及率はほぼ100%に達し、水洗化による衛生的な生活環境や、浸水被害の軽減化を実現するなど、横浜の都市としての発展に大きく貢献してきたところであります。
しかし、徐々に老朽化が進んでおり、早急の計画的な整備が必要と考えます。下水道管きょは市域全域に網の目のように、地下に埋設されており、老朽化の予見が困難であることが大きな問題です。万が一、破損した場合は、道路陥没が引き起こされるなど、市民生活に大きな影響を及ぼします。
また、市内に布設されている総延長は約11,600kmという膨大な量であり、昭和50年代半ばから平成の初期にかけて集中的に整備されてきました。老朽化も、同時期に急激に訪れることが想定されます。

 8.現在の子どもや若者が抱える課題について

青少年の抱える課題は、時代や社会の変化に応じて、移り変わっています。
例えば、集団就職が盛んに行われた1960年代は、「青少年の家」や「青少年図書館」など勤労青少年への余暇利用施設の整備や非行防止などが横浜市にとっての青少年対策でした。
それが1980年代になると、高校や大学受験などによる競争社会が激しくなる中で、いじめや校内暴力、家庭内暴力など「荒れる中高生」や小中学生の自殺が社会問題になりました。
そして現在の青少年が抱える最大の課題は、雇用の問題です。昨年の12月の時点で15歳~24歳までの若年者の完全失業率が8.4%に達しています。そして高校・大学等新卒予定者の内定率が、同じく12月の時点で、大学生で73.1%、高校生で68.1%と、以前に「就職氷河期」といわれた時期よりも低く、過去最低となっています。

市長が提唱する「ぬくもりある社会」を実現するためには、乳幼児に対する子育て支援策と共に、思春期の子どもたちや若者も含めたあらゆる世代を社会的に孤立させないための方策が必要であると考えます。
特に困難を抱える若者には、団塊ジュニア世代、いわゆる就職氷河期世代が多く、今後、彼らが30歳代後半から40歳代へと差し掛かかります。
世代をつなぐ切れ目のない支援の社会的ネットワークを構築し、誰もが明日に希望を持って生き生きと暮らすことの出来る都市・横浜を実現する。このことを期待して次の質問に移ります。

 9.子育て家庭・介護家庭のための安心施策について

市長は、「産科・小児医療、救急医療体制の充実」を掲げ、新たな取組や既存施策の拡充策などを積極的に打ち出されました。
そのひとつに、「小児救急電話相談(1174・イイナース)」の拡充があります。こどもの急病に際して、救急医療機関を受診した方が良いのか、家庭で見守る場合にはどのようなことに気をつけたら良いのかなどを直接電話で相談できる窓口として、小さなお子さんを持つ多くの市民から相談を受け、実績を上げています。
本市の小児救急電話相談事業は、神奈川県が設置する「神奈川小児救急ダイヤル(#8000)」とは別に、小児の急病に対応するより充実した電話相談窓口を、市独自に設置すべきであるとの我が党の提案を受け止める形で事業化されたものでもあり、それを更に拡充することにより市民サービスの充実を図ろうとする市長の姿勢は、評価に値するものと考えます。
また、市長は、新たに「産科あんしん電話相談」の設置・運営にも取り組まれることとし、今回、新規事業として予算計上しています。

一方で、高齢化の更なる進展に伴い、高齢者の方々が安心して老後を暮らせる社会を築くことも急務となっています。
本市においては、要介護認定者のうち、何らかの支援を必要とする認知症高齢者は、約半数にあたる57,000人に上るとも聞いており、認知症に関する相談先が少ないことへの不安を抱えている介護者も少なくありません。

 10.小児医療費助成について

子育て支援施策の充実は喫緊の課題であり、その中でも、子育てに係る経済的負担の緩和を図る小児医療費助成制度は、我が党としても大変意義のある施策であると考えています。
東京23区やさいたま市では、中学卒業まで所得制限なしで助成を行っていることと比較して、制度の拡充を求める要望を数多くいただいております。

財政状況が厳しい折ではありますが、我が党としましては、「チャイルドファースト社会」の実現や本市の子育て環境の整備促進のためには、子育て世代の経済的負担を緩和する小児医療費助成制度の一層の拡充を望みます。

 11.ヒブワクチンの公費助成について

ヒブワクチンの接種は現在、予防接種法に規定されていない任意の予防接種として位置づけられております。 
ヒブワクチンは、世界各国で使用されており、わが国においても世界各国と同様に使用されることが期待されます。
予防接種法に定められている「麻しん風しん」や、「BCG」などの予防接種については、本市では、母子健康手帳やホームページなどで対象となる子どもの保護者に対する周知がされていますが、ヒブワクチンを含めたその他の任意の予防接種に関しては、現在のところ、必ずしも行政からの積極的な広報・周知がなく、保護者同士のいわゆる「口コミ」で情報が伝わっているように見受けられます。
接種の対象となる乳幼児が多い本市においても、ヒブワクチンに関する認識を持つことが必要なのではないでしょうか。

 12.女性特有のがん対策について

平成19年に国が「がん対策基本法」を施行し、がん撲滅のための取組みが始まっております。
しかし、欧米では、70~80%の女性が子宮がん・乳がんの検診を受診していますが、日本では20%程度と受診率が依然として低く、がん対策に最も有効である早期発見のためのがん検診の受診率が、なかなか向上していないのが、現状です。
我党としては、なんとか受診率を向上させ、がんで亡くなる方を無くしていきたいという強い思いから、昨年の5月に緊急経済対策の一環として、「子宮がん、乳がん検診の無料クーポン券を交付する女性特有のがん検診推進事業」を全額国費補助事業として創設しました。
しかしながら、22年度は、全額国費補助から自治体が半分負担する制度に変わり、事業の継続を心配していたところですが、本市においては、引き続き事業を行う予算が計上され、安心したところです。
この無料クーポン券交付事業を一時的なものではなく、恒久的に取り組んでこそ、がん撲滅に繋がるものと固く信じております。

欧米ではすでに行われている「子宮頸がん予防ワクチン」についても、お伺い致します。
子宮頸がんは、20~30歳代の女性で目立って増加しており、日本では、年間15,000人以上が子宮頸がんにかかり、3,500人以上の大切な命が失われているのです。
この大切な命を失うことなく、予防できるワクチンが一日も早く承認されるように我党は求めてきましたが、ようやく昨年10月に承認が出て、12月からワクチン接種が可能になりました。
しかしながら、接種は3回で、ワクチン本体の価格に診察費用を加えると4万~6万円程度と費用が高額です。「がん」に罹ると本人のみならず、家族までも、 悲しく辛い思いをすることになります。この悲しい辛い思いをなくしたい。そのためにも、より多くの人がワクチンを接種できるようにすることが必要だと考えます。
また、WHOが推奨し全ての地域に向けて予防接種を勧告している予防接種でもあり、報道によれば、東京の杉並区をはじめ、いくつかの自治体では全額公費助成を来年度から行うようです。

 13.高齢者施策の方向について

世界に例のない早いスピードで高齢化が進み、本市でも高齢化率はすでに19%に達し、団塊の世代が高齢期を迎える平成26年には、市民の4人に1人が高齢者という社会が訪れようとしています。
高齢者施策を考えるにあたっては、介護を必要としない元気な方が「健康寿命」を伸ばし、いつまでも生きがいを持ちながら元気で活動的に暮らし続けられるよう支援していくことが、重要と考えます

しかし、加齢に伴い身体機能が低下することは誰もが避けられません。若いころには難なくできた買い物や外出が難しくなるなど、日常生活を送る上で負担を感じることも増えていきます。
また、地域の人間関係の希薄化等により、日常的な付き合いや助け合い、互助の機能が低下していると言われており、特に増加している一人暮らしや高齢夫婦のみ世帯の方の、社会的な孤立の防止が大きな課題となっています。
いわゆる「買物難民」「孤立死」など、市としても早急に取り組むべき日常生活上の課題もあると思います。

今後、急速に高齢化が進み、元気な高齢者も増えてきます。これからは、高齢者が誇りや意欲を持っていつまでも元気に暮らせるよう、そうした方々の力もいかすまちづくりを進めることが必要です。市民の一人ひとりが自分自身の高齢期に必要な備えとして高齢社会対策への理解と関心を深め、社会の中で自然に高齢者を敬い労わる心を育めるような取組についても是非進めていただきたいと思います。

 14.精神障害者への生活支援に関して

精神障害は目に見えない障害であり、一般にはなかなか理解されにくいものです。
また、精神障害者に対する施策は身体障害者や知的障害者に比べて遅れている、と言われています。平成18年に施行された「障害者自立支援法」は、それまで別の法律で規定されていた福祉サービスや施設体系を一元化し、障害種別にかかわらず必要なサービスを利用できるようにしたものです。

障害のある方が地域の一員としてあたりまえに生きていけるということは、すなわち、誰もが安心して生活できる、ということだと私は考えております。このため、市民一人ひとりがお互いの人権を尊重しあいながら、障害のある人もない人も同じように生活ができる社会の実現を目指して、市長がいっそうのリーダーシップを発揮し、取組を進めていただくことを要望して、公明党横浜市会議員団を代表しての私の関連質問を終わります。