公明党横浜市会議員団

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平成23年第4回定例会において一般質問を行ないました。(12月9日)

12月9日(金)の本会議では、尾崎太議員が公明党横浜市会議員団を代表して、市政運営の重要課題について、9項目にわたり林市長及びに山田教育長に質問いたしました。

  1. 防災対策
  2. 中学校昼食の充実
  3. 市民の健康を守る取組
  4. 不育症への対応
  5. 空き家対策
  6. 鶴見駅周辺の交通結節点機能の強化
  7. 環境にやさしいエコ発電
  8. 市民協働
  9. 文化・観光施策の推進

 1.防災対策

地域防災拠点の充実について

東日本大震災では、発災より9か月が経過した今でもなお、多くの被災者が避難所や在宅での避難生活を余儀なくされています。本市においても、3月11日には地域防災拠点が開設されましたが、地域防災拠点は、防災資機材や食料を備蓄し、災害発生時に家族の安否を確認したり、生活情報を提供する場所となります。また、家が倒壊した方の一時的な生活場所ともなりますが、収容人数は1,000名程度であり、地域のすべての方が避難することを想定しているわけではありません。

先ごろ我が党の女性防災会議が658の地方自治体を対象として実施した「女性の視点からの防災行政総点検」の調査結果を発表しましたが、それによりますと、計画されている避難所の整備・運営に女性の視点や子育てニーズの反映がなされている自治体は335団体で全体の約50%にとどまっています。授乳室や男女別更衣室の確保、プライバシー保護、そしてトイレへの配慮など、まだまだ女性の視点等に配慮した対応が十分では無いと感じます。

静岡県が考案した「避難所運営ゲーム」、通称「HUG」(避難所運営ゲーム)というものがあります。これは、開設した避難所で発生する出来事や課題をカードで示し、参加者が話し合って学校の図面を活用しながら、解決していくというゲーム感覚の机上訓練です。
私も防災士の資格取得の際に体験しましたが、実際に起こりうる場面を想定しての訓練であり、運営面での問題点や、課題解決のために、有効な実践的訓練であると感じました。

現在の整備状況は、整備対象拠点である51か所のうち、21か所で完了し、今後3年間で、残り30か所の地域防災拠点の整備を進めると聞いています。
また、先の東日本大震災における避難所の状況をみると、本市と同様の整備を進めていた避難所では、トイレの対策として非常に有効であったと報告もあります。
トイレの対策を充実していく上では、液状化区域内の整備にとどまらず整備拠点を拡大していく必要があると考えます。

体育館を除く校舎の1部分において、トイレの洋式化は順次進めていると聞いておりますが、もし災害が起こって多くの住民の生活の場が体育館となったとき、高齢者等が安心して避難生活を送れるよう、校舎だけではなく体育館のトイレについても、できる限り早く洋式化を進めて頂くことを強く要望致します。

津波避難対策について

国の中央防災会議においても、「あらゆる可能性を考慮した最大クラスの地震・津波の検討」との方針から、12月8日、神奈川県が公表した慶長型地震による新たな津波浸水予測図の素案も、まさしくこの考えに基づくものとされています。
この新たな浸水予測区域と、横浜市が8月に発表した津波避難ガイドラインで用いた元禄型地震の浸水予測区域を比較してみると、区域の面積は概ね5倍程度に拡大されたように見受けられます。
私の地元である鶴見区の沿岸部にお住いの市民からは、「JR線に分断された地域は、どのように避難すればいいのか?」、また「一体どこに避難すれば良いのか?」、など、切実な声を多く聞いております。市民に寄り添うとの市長の姿勢から、具体的な安心を与えていくことが必要と考えています。

避難対策には、まちづくりの観点も含め、地域特性に応じた対策が必要と考えます。
そのためにも従来の縦割りを排し、総合的な対策が執れる組織を構築するよう強く要望致します。

子どもの防災意識の向上について

小さい頃から防災意識をもたせることは大切なことであり、それを将来の市民の防災力向上につなげるため、教育の一環にしっかり位置付けることが必要であると考えます。

ぜひとも学校における防災教育の、より一層の充実をお願いするとともに、合わせて小学校において準備をされている防災ずきんについても、子供の生命を災害から守るとの視点から、ヘルメットへの切り替えについてご検討頂くことをお願いします。

女性の視点を生かした防災施策について

地域防災拠点の運営に関して、女性の視点が重要であると申し上げましたが、防災施策全般においても、同様に女性の視点が必要と考えます。
本市においては、20年度に、女性責任職を中心としたプロジェクトチームを作り、女性の意見を取り入れ、男女ニーズの違いへの配慮を明確にした防災計画の修正を行ったと聞いております。

 2.中学校昼食の充実

23年度予算代表質疑において仁田団長は、中学校の昼食という課題を早期に改善するために、中学校関係者と栄養士などの専門家、保護者代表、事業者などから構成する、中学校昼食の検討の場をつくるとともに、方面別にモデル校を指定し、モデル事業を実施するなどして具体的に検討を進めるべきと提案しました。

中学校昼食の課題の解決に向け、24年度の予算に具体的な取組みが反映されるよう、林市長及び教育長の積極的なリーダーシップに期待をします。

 3.市民の健康を守る取組

健康づくり施策について

介護保険事業計画ということもあり、計画の「素案」では、介護が必要な高齢者の施策が中心に書かれているようですが、高齢者の中で8割を占める介護保険サービスを利用していない方々が、心身の健康を維持していくための施策の充実が必要であると考えます。

21年5月、1か月分の診療費診療分の疾病別統計によると、横浜市国民健康保険の医療費約139億円のうち、高血圧や糖尿病、腎不全などの生活習慣病に係わる医療費は、約34億円で、全体の24%と高い割合を占めています。
ここでは、国保を一例として取り上げましたが、他の健康保険加入者も同様で、生活習慣病を予防することが、医療費を抑制し、市民一人ひとりの健康を維持増進するために重要となっています。

がん対策について

がんは早期発見・早期治療が重要であることは言うまでもありませんが、そのためには、多くの市民の皆様が、がん検診を受診することが必要です。本市は、政令指定都市の中では、受診率が低い状況にあり、受診者数を増やすための対策を講ずべきと考えます。

 4.不育症への対応

妊娠はするけれども、流産、死産や新生児死亡などを繰り返して、結果的に子どもを持てない場合を不育症といい、適切な治療をうければ最終的には約8割の方が出産できると聞いています。
9月の第3回定例会で、わが党の竹内議員がこの問題を取り上げた際、市長から、不育症治療についても保険適用となるように働きかけも含め、検討していくとのお答えをいただきましたが、その直後の9月28日に不育症治療薬として「ヘパリンカルシウム注射薬」が保険適用になるとの、厚生労働省の通知が出されました。これは、不育症治療にとって大きな前進であると、私はとらえております。

今後、自宅での自己注射などについても、保険適用になると聞いております。
命をはぐくむ施策を進めているわが党としても、今後、継続して取り組むべき事であると考えております。ぜひ横浜市でも、積極的な支援に取り組むことを、強く要望致します。

 5.空き家対策

最近、私のところに、空き家に関する相談が持ち込まれることが多くなっています。
「隣の空き家が廃墟化していて、今にも倒れそうで、心配なのだがどうすればよいか」とか、「樹木の枝が生い茂っていて、危険だが誰に言えばよいか」など、皆様の心配の元となる原因はさまざまです。さらに、行政にこうした相談を持ち込んでも、思うように解決しないことが多いと聞きます。
まず、連絡先が知りたくて所有者を聞いても、個人情報の壁があります。
さらには民々の問題であり、行政も効果的な手が打てない状況もあるとのことです。
人が住まなくなった家は、年月がたてば柱などが腐り、倒壊の危険度が増すうえ、強風が吹けば壊れた戸や屋根などが近隣に飛ぶ可能性もあります。さらにごみの不法投棄や放火を含め火災発生の懸念もあり、さらには子供のたまり場やホームレスの出入りなど、犯罪の温床にもなりかねないとの報道もあります。

現在は、空き家対策に特化した部署がないとの事ですが、安全な生活環境を求める住民意識の高まりを受け、ここ最近では所沢市で、所有者に空き家の適正管理を促す条例が制定され、また東京都足立区では、空き家を解体する所有者に解体費を助成する制度を設ける取り組みが始まりました。
横浜市も、組織横断的な課題となることが予想されますが、より良い市民サービス向上のための取組みを要望します。

 6.鶴見駅周辺の交通結節点機能の強化

鶴見駅周辺は、本市北東部の交通拠点であり、業務・商業施設や公共施設が集積する場所として多くの市民が利用しています。
京浜臨海部の玄関口でもある鶴見駅周辺では、これまで東口駅前再開発が22年度末にしゅん工し、区民文化センターもオープンし、都市機能の充実が図られています。
また、駅ビル工事も進んでいるなど、駅前空間が生まれ変わりつつあります。
こうしたまちづくりが進む中で、より交通利便性を高めていくことが重要であると考えます。

鶴見駅の「中距離電車」の停車については、地元が長年にわたり要望してきた経緯があり、鶴見のこれからの発展のためにも、ぜひ実現していただきたいと考えています。
昨年2月、地元からのJR東日本への要望では、様々な課題はあるものの、東海道貨物線にホームを設置する可能性があるとの回答をいただいたと聞いています。

これまで横浜の発展のいしずえを築いてきた地域のひとつとも言える鶴見のさらなる活性化を強く要望します。

 7.環境にやさしいエコ発電

横浜市は、これまでも地球温暖化対策に先進的に取り組み、温室効果ガスの大幅な削減など低炭素社会の実現に向け、高い目標を掲げて先駆的な取組にチャレンジしています。
また、人口や経済が著しく集積している日本の中でも、有数の大都市であると認識しています。
これらを鑑みると低炭素社会の実現に留まらず、広く環境に配慮した事業について、他都市をリードして取り組むべきであると考えています。

現下の厳しいエネルギー供給状況にあっては、エネルギーを大量消費する市の各施設において、単に省エネ、CO2 削減を進めるというだけでなく、自らクリーンエネルギーを生み出すことにより、新たなエネルギー循環を構築するという役割が期待されていると考えます。
良好な環境の創造を目指して、様々な施設であらゆる手立てをつくして、再生可能エネルギーの創出が進むよう、率先して取組を進めて頂く様、要望します。

 8.市民協働

市長は、様々な分野で協働の実践事例を多く積み重ねてきたとの認識を示し、市民と行政が相互理解を深めていけるような環境整備の必要性についても触れられました。
私は、公共的・公益的な分野に、市民や民間団体・民間事業者の持っている知識や経験、資源等を活用するために、市民等と、行政が対等な立場で共同して事業を行う、真の意味での市民協働が必要だと考えます。

市民協働を進める民間団体や民間事業者を含めた市民等と、行政との双方に、一定のルールとなる法的規範が必要となりますが、地方公共団体における法的規範は「条例」となります。
市民協働は、市民等と行政が対等の立場で推進するものであり、その法的規範である「条例」を施策展開においては、市民より優位な立場である行政自らが提案することは、本来のあり方ではないと考えます。
以上のことから、市民の代表であるとともに、行政の監視役である私たち議員こそが、公益的な立場から仮称「横浜市市民協働条例」の提案に向けて検討すべきであると考えております。

 9.文化・観光施策の推進

郊外部の貴重な文化観光施設であるよこはま動物園ズーラシアについてお伺い致します。
開園から既に12年を経過しましたが、これまでズーラシアでは集客に向けた様々な取組を行ってきたこともあり、郊外部にありながらも毎年約100万人の入園者を獲得しています。

大事な市民の財産でもあるズーラシアの整備・魅力アップに向けて、更なる取組を進めていただくよう要望します。

市長は、9月5日付けの「平成24年度予算編成スタートに当たっての市政運営の基本的な考え方」のなかで、「文化・芸術・スポーツを振興し、未来を担う子どもたちの感性を磨き、人に夢や希望を与えられる環境づくりに力を入れていく」としています。
今年度、本市の文化芸術に関する最大のイベントである「ヨコハマトリエンナーレ2011」は、わが国最大級の現代美術の国際展として開催し、去る11月6日に幕を閉じました。
東日本大震災の発生を受け、一時は開催が危ぶまれたとも聞いておりますが、多くの方々にご来場いただいたことは大変喜ばしく思います。

東京都では、本年7月より「芸術文化を活用した被災地支援事業」がはじまり、音楽・大道芸アーティスト・芸術家といった3つのジャンルによるプログラムが被災地3県において、継続的に実施され、演奏に励まされたとの声や、3・11以降あまり笑わなくなった子供が芸を見てよく笑ったという、喜びの声が寄せられているとのことです。
まさに文化や芸術を通し、被災地を応援できる素晴らしい取り組みであると考えます。

ドイツの詩人フリードリヒ・フォン・シラーは、芸術のもつ力について、「あらゆる芸術は人に喜悦を与えるためのものである。しかも、人間を幸福ならしめることこそ、最高のそして最も厳粛な仕事なのである」とうたっています。
本市としても、文化芸術を通し、被災地へ寄り添う思いを具体的な形にするとともに、さらには横浜市民の活力を生み出し、市民の幸福につながる施策の推進を強く要望しまして、公明党横浜市会議員団を代表しての、私の質問を終ります。