公明党横浜市会議員団

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平成29年第1回定例会において予算関連質疑を行ないました。(2月24日)

2月24日(金)の本会議では、斎藤真二議員が公明党横浜市会議員団を代表して、平成29年度予算案に関連して、18項目について質問いたしました。

以上、林市長及び岡田教育長並びに山隈水道局長、加賀交通局長に質問いたしました。

1.パリ協定を踏まえた地球温暖化対策の推進について

2015年の9月には、気候変動対策など地球規模の課題解決に向けて、先進国と途上国共通の目標である「持続可能な開発目標・SDGs(エスディージーズ)」が採択され、気候変動対策も17の目標の1つとして掲げられています。
パリ協定を批准した我が国も、「地球温暖化対策計画」や「気候変動の影響への適応計画」を策定するなど、積極的な温暖化対策を展開しています。
横浜市は、多くの市民や企業が集まる大都市であり、エネルギーの一大消費地です。そのため、本市も率先して対策に取り組むことが必要と考えており、平成29年度予算案の中では、「地球温暖化対策実行計画」の改定に着手することなどが盛り込まれました。

全国の自治体をリードする「環境未来都市」として、より一層、地球温暖化対策を推進していただくことを要望します。

2.災害に強いまちづくりの推進について

近年の耐震改修補助制度の申請件数が落ち込んでいる要因として、旧耐震基準の住宅にお住まいの方々が高齢化してきていることや、新築時から40年近く経ち、耐震改修以外の様々な修繕費用が必要になっていると聞いています。
本市では、木造住宅の地震対策について、平成7年以来進めてきており、耐震化率は約86%まで引き上げたと聞いています。しかしながら、現時点においても未だ耐震性能を満たさない住宅が多く残っている状況を考えますと、これまで行ってきた取組の継続だけでは、簡単には住宅の耐震化が進むとは思えません。木造住宅の更なる耐震化を進めるために、今までよりも更に踏み込んだ広報・啓発が必要と考えます。
一方、地震とともに、我が国を襲う大規模災害のひとつに土砂災害があります。
横浜市域では、崖地に近接した住宅地が多く形成されており、ひとたび崖崩れが発生すると、市民の生活を脅かす災害に繋がる可能性があります。

崖地の防災対策を進めることで、市民の土砂災害に対する不安を取り除き、安全・安心に結び付けていくことが、行政としての重要な役割ですので、所有者への支援に積極的に取り組むことで、崖地の防災対策をより一層推進していただきたい。

3.被災地理解のための教育について

被災して避難してきた子どもに対するいじめの問題については、その原因の一つとして、子どもたちの放射線や被災地に対する正しい理解の不足があると思います。
現在、教員に対する放射線教育の研修はそれぞれの学校で行われているとのことですが、放射線というだけで、やはり敷居が高く、なかなかなじめないのではないかと推察します。
ところで、被災地の皆さんがどんな思いで暮らしているのか、どんな思いを抱えて横浜へ来たのか、ということに思いを馳せることもまた大切であると思います。本市の小中学校では、放射線教育について、文部科学省が作成した副読本を用いて実施しているようですが、現在、被災地が自ら復興に向けて副読本等を発行しており、さまざまな教材を使用できるようになっています。

被災地の復興へ向けても、放射線などに対する正しい知識の普及は欠かせないものであり、わが党としても、国会の場で、衆参両院の東日本大震災復興特別委員会でも、その重要性を指摘しているところです。
本市においても、ぜひとも充実した放射線教育、被災者、被災地の思いに触れる教育を実施していただくことを切に要望します。

4.県費負担教職員の本市移管について

いよいよこの4月に県から本市への権限移譲が行われ、任命権者と給与負担者が異なるという長年の懸案が解決することになります。
学校現場では、いじめ、不登校への対応や子どもの貧困の問題、増加する障害のある児童生徒や外国人児童生徒等へのきめ細かい対応など、課題が複雑化・困難化する中、本市では、児童支援専任教諭の小学校全校配置を全国に先駆けて独自に進めてきました。
しかし、課題へ的確に対応するためには、専任教諭の授業時間を軽減する非常勤講師の配置では十分でなく、常勤の教員配置を要望する現場の声も伺っています。
これからは本市が独自に教職員の配置を決定できるようになるので、こうした課題にも積極的に対応してもらいたいと考えます。

今回の権限移譲を契機として、子どもたちにとっても、教職員にとっても、よりよい環境を整えることで、教育の質の向上を図っていただくことを要望します。

5.通学路の安全対策について

昨年10月に港南区で登校中の児童が亡くなる事故が発生し、その後も、子供たちが巻き込まれる事故が全国的に後を絶ちません。
本市では、これまでスクールゾーン対策協議会の開催や、地域の方々に通学路対策に関する自発的な取り組みを促すなど、市民の皆様と一体となって通学路の安全対策を進めてきました。
全市的に通学路の安全性を更に高めるためには、歩道の整備を促進するとともに、現在の道路空間の中で実施できる対策を更に充実させる必要があります。

29年度のみに留まらず、今後も積極的な姿勢を継続して頂くようお願いします。

6.認知症対策について

高齢者人口の増加に伴い、認知症の方は今後も増加が見込まれています。認知症ご本人の大変さはもちろん、病状の悪化により、まわりの方との関係が変化し、介護する方に大きな負担がかかるなど、非常に厳しい状況もお聞きします。認知症になったとしても、ご本人、ご家族が、よりよい状態で生活できるよう、対策の拡充が必要です。また同時に、なるべく発症を予防するような取組も必要と考えます。

今後、認知症になっても、よりよい生活ができるような施策と、できるだけ発症を予防するような取組の両側面からの認知症対策の充実を望みます。

7.各区在宅医療連携拠点の運営について

在宅医療と介護の橋渡しを行う「在宅医療連携拠点」が平成28年5月に全区整備されました。当初、介護関係者中心だった相談も一般市民からの相談が最も多くなるなど周知が進んでおり、在宅医療に関する専門相談の窓口として機能を発揮しています。また、各区の拠点を中心に多くの職種の方が参加する連携会議や事例検討会も多数開催され、医療と介護の連携も目に見えて進んできたようです。
今後の在宅医療需要の急増を考えると、在宅医師の確保が最重要課題なのは明らかであります。

様々な考えやご希望がありますので市民の選択肢としてきちんと整備していただきたいと思います。

8.柳原良平氏作品の常設展示ギャラリーについて

平成27年8月にご逝去された画家の柳原良平氏は、長らく横浜を活動の拠点として活躍され、海・船・港に関わる作品を制作し、昭和52年には横浜文化賞を受賞されています。
また、帆船日本丸を横浜に誘致する際には、先頭に立って署名活動を行うなどの御尽力をいただきました。
29年度予算では、昨年4月に柳原氏のご遺族からご寄附いただいた多くの作品を常設展示するギャラリーを新設することとしています。
この常設展示によって、多くの市民の皆様が柳原氏の作品にふれ、あわせて横浜港の魅力を感じていただけることは、大変すばらしいことだと思います。

ご寄附いただいた柳原氏の作品は、数が多いこともそうですが、油絵や水彩画だけでなく、イラストや絵本の原画、そして切り絵など幅広いものと聞いています。
ぜひ、これらの作品を有意義に展示できる施設を作っていただき、新たな港の魅力としていただきたいと思います。

9.文化共生社会の実現に向けた取り組みについて

いま世界では、排他主義的な施策や、不寛容な考えがはびこり、国際平和を脅かす大きな要因となっています。
横浜は、「OPEN YOKOHAMA(オープンヨコハマ)」のスローガンに象徴されるように、多様性と寛容さを尊重する風土を有し、世界に開かれた都市として、様々な国籍の人々を受け入れながら発展してきました。
私の地元である都筑区では、ドイツ人学校や企業が立地していることから、以前からドイツ人の方々が多くお住まいでした。また近年は、インド人の方々が増えています。
中華街を擁し外国人人口の割合が10%を超える中区、ブラジル・ペルーなど南米系日系人が多くお住まいの鶴見区、インドシナ難民の受け入れに端を発しベトナムやカンボジアからお越しになった外国人の定住化が進む泉区など、区によってもその対応には大きな違いがあると思います。
このように地域の実情に敏感に対応できるのは区役所であり、各区が把握した多文化共生に関する課題を、様々な局と共有し、連携して取り組んでいくことが大切と考えます。

10.食品ロス削減の取り組みについて

食品ロス削減に向けた行動を浸透させていくためには、地域における市民への呼びかけと並行して、次世代を担う子供たちに、世界の食料事情を伝えていくこともまた重要だと思いますが、横浜には食料問題で活動している国際機関の日本事務所もあります。

この問題は、市民一人ひとりの日常の生活から流通・生産に遡る、現代の豊かな食生活に起因する課題であり、グローバルなテーマにもつながるものです。大都市・横浜として取り組んでいただくことをお願いします。

11.水道局の国際協力について

横浜市は、明治20年に日本で初めて近代水道が創設された都市であり、これまで培ってきた技術、ノウハウを活かして、昭和40年代から40年以上にわたって、アジア・アフリカを中心に世界の水事情の課題解決に貢献してきました。
職員の派遣や研修員の受入といった従来からの国際協力に加え、草の根技術協力事業などプロジェクトとしてJICAとの連携のもとに海外事業を展開しています。また、近年は、平成22年に設立した横浜ウォーター株式会社を通じた海外プロジェクトも増加していると聞いています。

130年前に外国の協力を得て水道事業を創設した水道事業体として、世界の水道事業の改善に力を尽くしていくことが現在の横浜市水道局の責務でもあると感じています。また、横浜市が今後も国際都市としてさらに発展していくためにも、引き続き、水道事業における国際協力に積極的に取り組んでいただきますよう要望します。

12.IoT及びライフイノベーション分野の中小企業支援について

昨年12月には、本市のライフイノベーションをより一層推進し、成果を着実に産業化につなげていく新たな仕組みとして、産学官金が連携した横浜ライフイノベーションプラットフォーム、「LIP(リップ).横浜」が始動しました。
LIP.横浜には、理化学研究所や横浜市立大学を始めとした大学、研究機関や、製薬・医療機器メーカーなど、32社・団体が協力機関として参画いただいていると聞いております。
一方で、市内経済の活性化においては、市内企業の99%を占める中小企業の皆様のビジネス機会創出を目指した取り組みが求められます。ライフイノベーション分野においては、大学や研究機関の専門性と共に大企業とも上手く連携しながら、プロジェクトを創出させ、そこへ技術力を持つ市内中小企業を参画させていくことが重要となるのではないでしょうか。

13.横浜の交通政策について

平成29年度予算案に計上されている「公共交通利用促進調査費」の中で、平成20年に策定された「横浜都市交通計画」の改定作業を進めていくと伺っています。
交通政策は、市民生活に多大な影響を及ぼす政策分野であるため、様々な社会経済情勢の変化を的確に把握し、時代に即した内容にしていく姿勢が大切です。
今後さらに顕在化する高齢者の移動の問題については、より一層切実な政策課題となりますので、中長期的な視点で、新たな施策を展開することも重要であり、市としての考え方をしっかりと打ち出していただきたいと考えています。

高齢者や障害者も含めて誰もが移動しやすい交通を実現することで、横浜が真に住みやすい都市になると考えていますので、今後の都市交通計画の改定作業に大いに期待します。

14.地下鉄利便性の向上について

グリーンラインでは、平成26年3月にダイヤ改正を行い、朝ラッシュ時間帯の混雑緩和が図られました。しかしながら、乗車人数は年々増加しており、中期経営計画にも6両編成化の検討について掲げられています。
沿線地域においても川和町では区画整理事業など新たな街づくりが進められていて、更に利用者が増えることが予測されるため、輸送力の確保は重要な課題であると考えます。

今後の需要の推移を見極めつつ、混雑緩和策を適切な時期に実施することにより、輸送力を増強し、地域の発展のためにも快適なグリーンラインを目指していただくことを要望します。

15横浜駅西口駅前のまちづくりについて

横浜駅周辺の大改造計画である、エキサイトよこはま22計画のリーディングプロジェクトである西口駅ビルが本格着工するなど、ようやく事業が動き始めました。
東京2020オリンピック・パラリンピックの時には、横浜駅で世界のお客様をお迎えすることになります。
しかし、現在の横浜駅西口駅前は、国内有数のターミナル駅であるにもかかわらず、他都市に比べても歩行
者空間が非常に狭く、バスと鉄道等の乗り換えも分かりづらいなど、交通結節点としての駅前広場機能が十分とは言えません。
2020年に向けて、限られたスペースではありますが、海への近接性を活かすなど、自然を感じられる横浜らしさを演出した魅力的な空間づくりが必要不可欠であると考えます。

16.都市デザイン行政について

横浜市は、昭和40年代から都市デザインの手法を取り入れ、都市の魅力を創り出す取組を先進的に進めてきました。
最近はドラマやCM、映画、雑誌などで横浜の街を目にする機会が増えました。一目見て「横浜だ」とわかる景観があることは誇らしいことで、これは都市デザインの大きな成果です。
少子高齢化や人口減少による地域社会の衰退、また、国際都市としての活力向上など、さまざまな課題に対しても、これまでの蓄積を活かし、都市デザイン行政を各地で展開していくことが有効だと感じています。

横浜は国際都市、観光都市、住宅都市など様々な顔を持つほか、海や農業、里山などが身近にあるとても多様で豊かな都市です。都市デザインはそうした地域の資源を活用し、人々の感性に訴える新たな価値を生み出すことができると考えます。ぜひ都市デザインを広く展開していってほしいと思います。

17.市営住宅の再生について

少子高齢化の進展や社会情勢の変化に伴い、本市においても住宅の確保が困難な高齢者や子育て世帯が安心して暮らすことが出来る住まいの供給が求められています。こうした中、現在約3万1千戸ある市営住宅は、これらの方々に向けて低廉な家賃で住宅を供給していますが、今後もその役割の重要性はますます高まっていくと思われます。

市営住宅の再生を単なる居住機能の更新とせず、地域の再生・まちづくりの推進の一役を担うものとして、しっかりとした方向性のもと着実に取り組んでいただきたいと思います。

18.保有資産の有効活用について

本市では、平成22年3月に「資産活用基本方針」を定め、資産の戦略的な有効活用の取組を推進してきたところです。
基本方針は、27年3月の改訂で、「施策の推進と財政の健全性の維持を両立させながら、資産の戦略的な有効活用の取組を推進」すると定められました。
また、中期4か年計画においても、「経営的視点に立って、資産の価値を最大限に引き出せる活用策を決定」することが目標に掲げられるなど、大きな関心を持っています。

併せて、公共空間の有効活用にも取組み、横浜の魅力をさらに向上させることも期待し、公明党横浜市会議員団を代表しての質問を終わります。